パーキンソン病とカフェイン
ドーパミンの不足や働きが悪いせいで起こる疾患ですが、この症状を改善しようとする現在の薬は思わしくない副作用があり、患者さんのQOLを低下させている問題があります。
さて、コーヒーなどに含まれるカフェインはパーキンソン病の症状を逓減させることで知られています。ところが、パーキンソン病を患う人の血中にあるカフェインに関する代謝物質を調べると健常者に比べて低値を示しているとの研究があります。 これは腸でのカフェイン吸収能力が悪いせいではないか?という仮説が浮かんできています。
α-シヌクレイン
主に成熟神経細胞のシナプス前終末に局在する14-19kDaのリン酸化タンパク質。シナプス機能の調節や可塑性に関与していて、パーキンソン病においては神経終末で蓄積し神経損傷を引き起こしているとされています。
このα-シヌクレインは以前からパーキンソン病の初期から存在が確認されていて、胃腸で生成されたあとに脳へ伝達されて蓄積するのではないか?という仮説がありました。
研究によってその逆経路。脳から胃への伝達は確認されたので仮説を裏付けるものとなりそうです。ルートは中脳→延髄→延髄内迷走神経→胃壁。というもので約6ヶ月ほどで到達するようです。
この結果から脳から胃へ運ばれるのなら胃から脳へ行ってもおかしくないというのが研究者の考えです。パーキンソン病は脳の病気になる前に胃腸の病気が起こっていると考えられるのです。
レビー小体型認知症 アルツハイマー病 パーキンソン病
α-シヌクレインはそのものが神経毒性を持ち、それによってアポトーシスにも関連しているものです。この働きが正常ではないことから、これらの病は総じて神経細胞の新陳代謝が上手くいかないためにおこる病であるといえます。
胃と脳は関連している
現在は状況証拠ばかりではありますが、大雑把なくくりとしてこの事実は間違いがないでしょう。そして今回の出てきている疾患において胃腸機能と強い関わりがあるというのは私も臨床で感じていることです。
パーキンソン病、認知症の方を診ていると明らかに胃腸機能に体調の影響を受け、コーヒーなどカフェイン飲料を好む人が多いと思えます。その場合、治療もやはり胃腸をターゲットにすることが多く、それにより一定の効果が見られます。とはいえどんどん治るわけではありません。IPS細胞をつかった神経細胞の移植。今はこれが一番根治に近いのかもしれません。
今後、仮に根治法が見つかっても患者層が高齢ということも多いために、現実的に手術が可能かどうかの問題もあります。そうするとやはり治療よりも予防、進行防止に重点を置くべきであるというのが最も有効な手段となりそうです。
「日頃から胃腸の機能を正常に整える。」
これは東洋医学が得意として養生法、治療法としても多く取り入れられていることですから早いうちから実践しておいて損はありません。
これらの疾患が気になる方は近くの鍼灸院などに質問してみると良いかもしれませんね^^