東洋医学だろうと現代医学だろうと治療者が「治せない。」「治したくない。」「治さない。」患者というものは存在します。
理由は病の原因が不明であるとか、難しい病であるとかそのようなものではありません。 その多くは患者に「本気で治る気がない」ものです。 このことを扁鹊という医者が簡潔に語っています。 大昔に書かれたものですが現在でもその言葉には説得力があり、当たり前の内容ばかりです。
 
治らない貴方。心当たりはありませんか?
 

扁鹊の六不治④

阴阳并,藏气不定,四不治也。
『陰陽が并り、藏気定まらざるは、四の不治なり』
 
この四不治は非常に抽象的な書き方をされていて様々な考え方が有るようです。
陰陽は上下や左右など本来は一つのものが持つ相反している要素のこと。逆向きが正常の2つの要素を表していますから、それらが互いに合わさってしまっている状態。 つまりは普通の状態ではなく理が成り立っていないということでしょう。
藏気は「隠れた気」とも考えられれば「臓腑の気」ともとれます。 「気」は形のないエネルギーや作用のこと。 例えば、心や思いも「気」の一つです。
 
現実的には、一般論としての説明やこちらの真意が伝わらない状態。 精神的に不安定でこちらの話をまともに聞かない状態。 一貫した方針や信念。想いを貫けない場合などでしょうか。 治療が少しでも上手くいかないと、他に良いものがないか探して移ってみたり、ありとあらゆる治療法に手を出したり、疑心暗鬼になって疑ったり、とにかく心が不安定であり、その方向性にあらゆる矛盾があり、一定ではない場合と言えます。
例えば、ドクターショッピング。
例えば、様々なサプリメントや治療法に手を出す。
例えば、医者に背き一定の治療方針を取ることができない。
 
病の回復にはどうしても時間がかかるものがあります。はじめは思うような効果が出なくても一定の時間その治療を続けることによって初めて功を奏するのです。
治療者が変われば治療はまた初めからです。 少し治療を進めては自分自身でふりだしに戻るのですからそれ以上に進むことはできません。
それでも治療の大きな方針があってさえいれば非効率ながらも少しは治癒に向かうかもしれません。 しかし、治療家が全て同じ方向性で医療を加えるとも限りません。 自分自身の勝手な思い込みで選んだ治療法や薬を行うならば真っ当な治療者の目から見ればデタラメもいいところ。 そのような場合、病が複雑化することは有っても治ることは無いと言い切れます。 それでも万に一つ。たまたまにでも治ればそれは運です。博打治療を行って運良く勝ったというだけです。
複雑化した病はそうなる前よりも治癒に時間がかかります。 医療者を信用していればよいのに、根拠の乏しい他人の言葉や、無責任なメディアの言葉で疑心暗鬼に囚われて結果的に悪化させる。このような人が来てもそうそう簡単に治せる治療家はいません。 現代では病を複雑化させてこじらせた場合に患者さんの行き着く先は大抵、心療内科か宗教です。昔に比べて命を救う医術が非常に発達したためなかなか死にはしません。 そこで、もともと有った病とは別の病名をもらい、その病に対しての治療という安心をもらえます。 しかし、それで病が癒えている人は極めて少数でしょう。 だって、もともと持っている病に対して有効なことは何も行わないのですから。
 
すぐに治らない病を持つ人はどこに行ってもすぐには治りません。 例え、自称「ゴッドハンド」などと嘯いている治療家でも治らないです。 それを慢性病といいます。 そして、慢性病を治した人に共通することは「一つの治療を根気強く続けた。」ということです。 貴方の場合、その期間は一年かもしれません。十年かもしれません。一生かもしれません。 いつ治るかなんて誰にもわかりません。それが慢性病です。
しかし、同じ治療者が一つの病を丹念に診続ける時、必ず寛解へ導く道理が見つかるものです。 治すための道筋を見つけ、そこに導くのが医療者としての努めであり、そのための知識や技術を学んだ人間なのですから、先ずは信用してみては如何でしょうか?
 
貴方が治らないわけ⑥へつづく
 
 

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