国立がんセンターが追跡して発表した癌ごとの5年生存率です。

全体     65・2%

胃      70・4%

大腸     72・6%

肝臓     38・5%

肺      39・1%

乳房(女性)  92・7%

食道     43・4%

膵臓     9・9%

子宮頸部   75・6%

子宮体部   82・8%

前立腺    97・7%

膀胱     71・2%

国立がん研究センター

 

この数字はどんな治療を受けたか、そもそも治療を受けたのか?年齢は?癌が見つかった時の状態は?などは全く考慮されていないのでコレだけでどうだこうだという判断は出来ないのですが、思ったよりいい結果が出ていると思うのは私だけでしょうか?

5年生存率は癌を見つけて、その後、5年後も生きていたらまぁ治療の効果が有ったんじゃない?ということで一応の指標とされています。 しかし、抗がん剤を始めとしたがん治療の効果が高くなってきたことで近年は5年なんて生きていても何にも不思議じゃない。10年は見てみないと効果が分からない。ということで、10年生存率というのもあります。 調べてみるとすぐに出てきますが当然、5年生存率よりは低くなります。みなさん歳を取りますからね(笑)

さて、5年だろうが10年だろうが、癌が治ったかどうか。再発しないかどうかなんて分かるのは神様だけでしょう。 それにただ、年数を生きていれば良いというわけではありません。 患者さんにとっては一応の健康状態で生活を取り戻すという目的が叶ってこそ治ったと言うべきで、ベッドの上で様々なチューブに繋がれて生きていても意味が無いと考える人もいるでしょう。 そこで、もう少し違った指標も存在します。

「無再発生存率」

5年、10年生存率は治療して再発していようが瀕死だろうが生きていればカウントされますが、この指標は言葉通り、再発していない人の割合です。

「実測生存率」

5年、または10年という一定の期間で癌以外の病気で無くなった人も含めた生存率が「実測生存率」 癌を患った人でも老衰や他の病気にかかることもあります。必ず癌で死ぬとは限りませんから。

「補正生存率」

「実測生存率」に対して、死因が癌にのみ絞っている指標が「補正生存率」

「相対生存率」

さらに年齢、地域、性などの同じ条件集団の中で一般の人と、癌患者との生存率を表したものが「相対生存率」

 

「質調整生存年(率)」

QALY(Quality Adjusted Life years)とも言われるものです。本来は医薬品などの医療技術の保険収載の可否などの判断基準として導入を検討している「費用対効果評価」についての経済指標です。

しかし、この判断基準にはただ、生きている期間を伸ばすと言うだけでなく、生きている間のQOL。 生活の質を考慮した指標になっています。 効果の測定法を意釈してみると…

 

1)基準的賭け(Standard Gamble)

行おうとする治療法の成功確率と治療を行うときの状態を考えてその効果の推定。

2)時間得失法(Time Trade Off)

病気を患っている長い期間と、治療後の短くても健康な期間が同価値であるとした時に、期間の長さと治療の有効値を推定。

 
3)人間トレードオフ(Person Trade Off)

病人と健康な人のどちらかだけを助ける時に、その数の比率と、健康状態の有効値を推定。

 

み~んな推定ですね(笑) それもそのはずでそもそもQOLは数値化できない指標だし所詮、医療はやってみないと結果など分かりませんから 「1)基準的賭け」とあるように、あくまでも統計学的にこの辺が妥当だろうというラインを推定するわけです。 もとが経済指標だけに対費用効果優先のかなりドライなものですね。

がん患者さんに使う場合はやはり、その方の状態を見て治療するかしないか、するなら何をするべきか?治療をした場合としなかった場合、どちらがその人の後の人生にとって幸せか? といった捉え方をするものでしょう。 治療の副作用の多くは昔に比べれば、かなり軽減されてきてはいるものの使用すると確実に体力を奪い、時にその人の後の生活を壊します。 科学的にそれらの基準となる状態が統計データとして集まってくれば、一つの指標として取扱い、患者と医者がこれまで裁量で決定していた治療方針や生活方針を決める一つの手助けになるかもしれません。 

患っている人は皆、癌を治して元気で長生きしたいと思っているはずです。そのために現状でどの統計データを信用し、どの治療に賭けるのが一番良いのか。 今のままでは非常に分かりにくいですよね。