健康法には大きく分けて2つの方法があります。

①健康と病気。どちらかに極端に傾いている時に逆方向から引っ張る方法と②体がどんな状態だろうと中庸からただひたすらに引っ張る方法です。

 

多くの場合、医療者による実際の治療ではこの2つを同時進行させます。①のみ②のみという治療では得られる効果が両極端すぎるからです。 具体的には治療Aによる①と治療Bによる②といった具合になります。 我々鍼灸師であれば①はツボA ②はツボBのように使い分けます。 我慢できない症状を取りながら病気そのものは時間をかけて治していく。 ということなのですが医者も患者も一番苦しい症状にのみ目がいき①の価値を過大評価します。そのため、症状が一時的に無くなれば治った!と勘違いして治療を止めてしまうのです。 しかし、本当に病を治し健康を維持する治療というのは②の作用を持ったものです。 緩やかだが確実に健康へ導き、長期間維持します。 

①は加減や刺激の種類が多く、その使い方にも知識がいるのですが②は基本的にいつも同じもの、同じ加減なので一般論として理解しやすく、使いやすいメリットがあります。 食養生や健康食品、サプリメントなどの殆どは②になるように効果を抑えられていたり、そもそも強い効果を持っていなかったりしますから薬のように目に見える効果がすぐに起こらないのは当たり前であり、そもそもそのような効果を期待すること自体が間違っています。 

①と②はとても関係が深いので実は切り離して考える事はできません。 生き物は体質の上に体調があり、体調の変化で体質をすぐに変えるという事はできません。 病気だからといって治療をして治しても体質がそのままだと必ず再発します。 どちらも必要でどちらも大切なものです。

ただし、①に近い② ②に近い①というのも存在しますからそこでも治療者の腕と知恵の見せ所となります。 ややこしいですね(笑)

 

つづく…