1994年。「胃がんの原因はピロリ菌」とIARC (国際がん研究機関) が発表し、胃がんは感染症だという考え方が広まりました。

そしてピロリ菌の有無を検査し、除菌して胃がんの発生を食い止めようとする動きも大きくなりました。 その結果、2014年のイギリスの医学誌「British Medical Journalでは胃がん発生率は除菌で34%減少し、胃がんでの死亡は33%減少したと発表されたとのことです。 胃がん発生の80%ほどにピロリ菌が関係していると言われていますからやはり一定の効果はあると言えます。  ただ、発生が0%にならないという事はピロリ菌以外の要因もあることの証明でもあります。 

ピロリ菌が胃がんの原因になると言われるものに胃の粘膜の保護を弱め、胃の細胞が自身の胃液とピロリ菌からの分泌物で繰り返し障害を受けることで、修復回数が増えた細胞が癌化すると言われています。 つまり、細胞の障害回数が高いと癌化の可能性も上がるということなのでしょう。 除菌は抗生剤によって可能ですが、抗生剤による副作用や除去しきれなかった場合はピロリ菌が抗生剤に対して耐性を持つこともあります。多少のリスクはありますが現代で、もし検査して発見されたピロリ菌をそのまま放置する人はまずいないでしょう。

しかし、ピロリ菌を除去すると肥満、酸逆流性疾患、食道炎、食道がんなどの食道の病気の発生率が逆に上がるとされています。これは胃から逆流する胃液をピロリ菌が中和していることの現れかもしれません。つまりはピロリ菌は食道を守っている可能性もあるのです。 

 

さて、胃がん発生の可能性を高めるとされるものが、3つあります。 これら単体でも発生率が上がりますが、ピロリ菌感染が合わさるとさらに確率が高くなるといわれています。

高血糖

血糖が高いことにより2倍~4倍胃がんになりやすいと言われます。 糖尿病状態では傷の治りが悪いので当たり前と言えば当たり前でしょう。

喫煙

1.5倍~11倍ほど喫煙により発生率が上がります。  

塩分

塩分のとりすぎにより3倍ほど胃がん発生率が上がります。

 

胃がんの発生にピロリ菌が関わっているのは間違いないとしても、必ず癌になるとは限りません。あくまでも可能性が高まるだけです。他にも沢山の原因になるものがあるのもまた間違いないと言えますし、ピロリ菌によって守られている部分もある。 だからピロリ菌を除菌したからといって安心することはできないし、感染しているからと言って悲観することもないと言えます。 もちろん、自分の生活スタイルや体質にあったリスク回避はしといたほうが良いのは間違いないですけれど、どれも確実な訳ではないのですね…(笑)