科学は条件さえ揃っていれば、同じことをすれば同じ結果になる。
これが当たり前です。 しかし、近年様々な学術論文の内容を追試してもその通りにならないことが多いようで、科学のあり方に問題が起こっているようです。 近年の最も大きな話題ではSTAP細胞でしょうか。
再現性がないものは所謂、エセ科学。オカルトなどと呼ばれるのですが、まさか○○大学研究所員やドクター☓☓、△△研究所所長などといった優秀な方々の発表論文がそのようなものとは夢にも思いません。
それでも現実には信用できる(と思えそうな)方の発表を追試しても同じ結果にならないケースが大量に発生します。 その原因は…追試する人の能力不足。 必要となる情報や研究条件の不備など様々なことが考えられますが、これらによってもし、初めの論文が間違っていたと証明されても、よほど大きな問題とならない限りは否定論文は世に出てきません。
科学者同士で粗探しして、それを公にして名誉を傷つけるような無粋な真似はしないし、する必要性もありませんからね。 間違っていたものはどうせ、世間の話題から消えるので皆すぐに忘れます。
これは医者の世界でも同じです。基本的に医者は他の医者の診立てや処置に不満があってもそれを口にはしません。 もちろん我々鍼灸師同士も同じです。 これは同業種における一種のマナーです。なので他の分野でも普通に行われているはずです。
医療も科学の一分野なので本来は再現性がちゃんと無いといけないのですが、生命を相手にしていると同じ結果を出すための条件が一定にできないという問題があります。 現実にはそれでも効果を出すための手段が技術と知識、知恵ということになりますが、論文にしようとすると条件を揃えられないというのは大変な問題で、これは医学が他の科学分野に比べて思ったように進歩しない一因となっています。
当然、研究者はお仕事として研究し論文を出しているので一定の期間にちゃんとした成果物を出さないとまずいという事情もあります。 そうするとどうでもいい内容、内容の稚拙な、真偽の怪しい様々な論文たちが大量に世に出回ることにもなります。
我々一般人がこのことを知らずに、お偉い先生や、TVなどの言葉を鵜呑みにして最先端科学、医学の情報に振り回されるのは避けたいところです。 それが無益無害なものであればまだいいですが、なんらかの効果が有ってしまった場合、それが健康被害にまで及べば笑ってはいられません。
ノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑 氏も「ネイチャー、サイエンスに出ているものの9割は嘘で、10年経ったら残って1割だ」とおっしゃっているように権威ある学術誌でもこの有様。 他のところで発表されるものの質は推して知るべしといったところでしょうか。 最先端科学では仮定、推論の域をでないものが多いのです。
その多くは確定した事実ではなく仮定。このことを踏まえて、 TVなどが言う「新しい事実」とやらは可能性の一つと考えて盲信せず、冷静に見る必要がありますね^^