脳に作用させる薬の総称を向精神薬といいます。発達障害全般を含めた精神疾患に広く使われていますが、殆どの場合、精神疾患の症状を抑えるのみで治すことはできません。

それでも、効いている人は良いのです。適切に薬を飲み社会生活を円滑に行えるなら言うことはありません。

しかし、薬が聞かない人も一定数います。
このような人が薬を続けていると何もいいことはありません。

例えば抗うつ剤の一つ。SSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)はセロトニンという脳内伝達物質の運び方に作用させ脳に貯まってる量を増やそうとする薬です。 この薬剤の作用機序は分かっているのですが、セロトニンの伝達にはこの薬が作用する所以外で行われるものがあることもわかっており、当然それらには効きません。

つまり幾つも穴の開いているシャワーヘッドの穴の一つを塞いで漏れ出る水を止めようとしているようなものなので薬の効果は出ているような、出ていないようなと言った感じになります。


セロトニンに限らず脳で起こっている化学物質の伝達や仕組みなどは本当に極々一部が分かっているだけです。 分かっているごく一部の更に一箇所に効く薬で改善しないのは当たり前。むしろ効いている人がとてもラッキーと言えます。

ところで、どんな病気にも体調の波があります。良くなったり、悪くなったりを繰り返し治っていくのか、悪化していくのか。それはその人次第ですが、効かない薬を飲んでても気分や体調の波で良くなっていくことがあります。 
これが、たまたま薬を飲んだ後に来ると医者はこう思います。「薬が効いたな」と。そうすると、例え本当は薬が効いていなくても医者は止めようとしません。ずっと飲み続けることになるのです。こんな時は薬を飲み続けても殆ど改善しません。効いてるような、効いていないような感じが続きます。

ただ、薬を飲み続けることによる副作用に不安を感じる方は多く、そういった殆どの人は薬を止めたいと言い始めます。

しかし医者は「薬を続けているからこの程度で済んでいるんだ」と考えやはり薬を続けようとします。

このような場合、薬が効いているのか効いていないのかこれを判断するのはとても困難です。本人が飲んだ場合と飲まなかった場合を比べられませんから。

しかし、効いていない可能性はあっても医者に任せていては絶対に継続です。なぜなら、「治らない病は現状維持が最優先。悪化させないことが第一。」が医者の方針だからです。 効いているかもしれない薬をやめて悪化させるリスクを負うメリットは医者には全くありません。 

患者の心を診る医者が薬の継続によって起こる本人や家族の不安を汲まない訳です。


発達障害や精神疾患を持つ人が鍼灸などを行おうとするのは大抵がこの段階です。