厚生労働行政推進調査事業費補助金慢性の痛み政策研究事業なる組織が監修して作り上げたガイドライン。 なんだかツッコミどころが満載です。

慢性疼痛の定義

国際疼痛学会(IASP)において「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」となっています。
 
簡単に言えば「進行がん以外で普通はこれくらいで治るだろうと思える期間を過ぎても治らないもの」ですね。
 

治療目的

治療は「痛みの軽減が目標の1つであるが第一目標ではない」 「作用をできるだけ少なくしながら痛みの管理を行い、QOLやADLを向上させることが重要」 となっています。
うーん?実際の患者さんのニーズに合っているかどうか微妙な言い回しですね。 誰だって痛みはなくして欲しいと思うはずですが…。 このガイドラインを作った人は慢性疼痛はもう治らないと思っているのでしょうか?
 

慢性疼痛の原因

「侵害受容性」「神経障害性」「心理社会的」などがあり複雑に絡み合っています。 正確な病態把握が重要。
 
これはその通りかもしれません。 しかし、逆に言えば原因は良くわからないと言っているのとおんなじです。 なのに病態を正確に把握しろとは無理がありませんか? 解っていたらQOL向上などに目的を置かずに治そうとするのでは?(笑)
 

評価法

推奨度

1 強く推奨する/しない
2 弱く推奨する/しない

エビデンスレベル

A 効果の推定値に強く確信がある
B 効果の推定値に中程度の確信がある
C 効果の推定値に対する確信は限定的である
D 効果の推定値がほとんど確信できない
 

薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
運動器疼痛 1A
神経障害性疼痛 2D
頭痛・口腔顔面痛 2B
線維筋痛症 2C
アセトアミノフェン
運動器疼痛 1A
神経障害性疼痛 2D
頭痛・口腔顔面痛 1A
線維筋痛症 2C
プレガバリン
運動器疼痛 2C
神経障害性疼痛 1A
頭痛・口腔顔面痛 2C
線維筋痛症 1A
デュロキセチン
運動器疼痛 1A
神経障害性疼痛 1A
頭痛・口腔顔面痛 2C
線維筋痛症 1A
抗不安薬(ベンゾジアゼピン系薬物)
運動器疼痛 2C(エチゾラム)
神経障害性疼痛 2C(クロナゼパム)
頭痛・口腔顔面痛 2B (緊張型頭痛:エチゾラム、アルプラゾラム) (口腔顔面痛:ジアゼパム、クロナゼパム)
線維筋痛症 2C
トラマドール
運動器疼痛 1B
神経障害性疼痛 1B
頭痛・口腔顔面痛 推奨度なし
線維筋痛症 2C
 
だそうです。 おなじみの薬も出てきていますね。でも、もう少し分かりやすい表記にしてもらえると嬉しいです。 せめて、「効く」と「効かない」をちゃんと分けて評価してください(笑)
ややこしすぎですが我々にとって重要なのはちゃんと効くだろうとされている1Aと1Bくらいのものです。 2やC、Dはほとんど効かない。効くかどうか自信がない。(わからない)からオススメしない。または使わないほうがいい。なのでなにか理由が無い限り選ぶ必要もありません。 この辺は医師に任せましょう。
 

心理療法・集学的療法

心理教育、行動療法、認知行動療法、マインドフルネス、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)はすべて 1(強く推奨)
集学的治療や集団認知行動療法(集団教育行動指導)はすべて 1(強く推奨)
どちらもエビデンスには触れられていません。
 
この部分は非常に興味深いです。化学的な根拠はないものの心を落ち着かせたり、意識を変革すれば痛みが取れることを認めています。 しかも一部の薬よりも強く推奨されている…。 第一選択は薬、第二選択に(薬が効かなければ)心理療法。なのでしょうか?   いずれは臨床心理士などに慢性疼痛治療の役割が当たり前のようにまわって来る時代が到来するかもしれません。
 

さて、痛み取りといえば鍼灸は恐らく、最も即効性があり効果が高いです。

今回の慢性疼痛も普通に治ります。(当然、原因による)
東洋医学で考える痛みの多くは「気」の病なので、「気の医学」である東洋医学が痛み治療に強いのは当然といえば当然です。
病院に行っても治らないその痛み。ご近所の鍼灸院に行ってみては如何でしょうか?

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