「風邪による咳に効く薬はない」米学会が見解

http://www.carenet.com/news/general/hdn/45060

 

これって、おかしいと思いませんか? これまでさんざん風邪を引いた時に出る咳を止める薬を宣伝していなかったですか? それを信じて服薬した人は咳が楽になったということはなかったのでしょうか? 

もし、これまでの全てがプラセボ効果によるものだったのだとしたら、効くといって宣伝して売った製薬会社の罪は重いし、それを暴いたこの学会の責任も重いでしょう。

確かに、止まらない咳は本当に止まりません。 私も過去に咳の患者さんを診ましたがその中で非常に治療に苦労した方がいました。 その方は一時良くなっても再発するし、病院で出された様々な薬を飲んでもほとんど効果が無いのです。 寛解を期に診ることは無くなりましたが果たして治ったのでしょうか? この場合は風邪ではありませんでしたが、私は咳そのものを治すのではなく咳を出している原因を考えて取り去ろうとしていました。 

風邪であっても同じだと思うのです。 風邪の咳は普通に考えれば、風邪が治れば止まるはずです。 風邪を治さずに咳だけ止めようとする事に何の意味があるのでしょう?  だいたい、風邪が治らないのに風邪が原因の咳を止めることができるわけが無いというのが私の考えです。 

皆さんも「風邪の特効薬を開発できたらノーベル賞」というのを何処かで聞いたことがあるのではないでしょうか? 現代医学は風邪という極めてありふれた病気を治すことができないので、その個別の症状を緩和させようとしているのです。 そしてそれに効果がないと気づいてしまった。 これは行き詰ったというのではないでしょうか(笑)

一応、東洋医学。特に漢方においては風邪の治し方は確立しています。傷寒論とよばれるものに風邪のひきはじめから、治るまで(もしくは死ぬまで)の経緯が書かれており、その薬は百種類以上にもなります。 しかし、現代人はそれを使いこなせる人がものすごく少ない。 製薬会社が「初期の風邪には葛根湯」などと宣伝して、何でもかんでも葛根湯を投薬した結果、患者に「効かないやんけ!」と言われても当たり前です。 そもそも葛根湯は初期の風邪と言ってもそのごく限られた状態の時の薬ですから。 その時期を外れた人は例え初期であっても効きません。 要するに漢方独自の見立てと、使用法を知らないまま、西洋医学的な使い方をしても効果が薄いということです。 しかし、漢方の勉強はかなり限られた人たちしかしていません。我々が普段お目にかかる医師は漢方薬を使っていても西洋医学的な漢方の使い方ばかりを勉強している人がほとんどですから、漢方薬本来の効果は正直あまり期待できません。

自分の仕事にプライドは持っていないとダメですが、他の分野に目を向ければ患者を救える可能性が広がるのです。西洋医学の研究者や臨床家も一度、東洋医学を学んでみては如何でしょうか? 西洋医学の偉大な先人達も通った道ですから間違いはないはずです。 代わりと言ってはなんですが、私を含めてた東洋医学者も西洋医学をもっと勉強するべきです。 同じ医学として、お互いに共通するものは多いはずですから、臨床にからなず役立ちます。 現代が良しとするなんでも専門特化していく風潮はどのような分野であってもいずれ必ず行き詰まります。 専門であるが故に視野が狭くなりますから、患者を治すという目的において、専門特化することは近道をしているようで遠回りをしてしまっているという一面も持っているわけです。

 

 

 

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