アメリカでの話ですが

米フロリダ大学の研究では患者が自分の症状について話し始めてから約11秒で医師はその話を遮るそうです。
他院から紹介を受ける専門医になるほど話を聞いてくれない傾向は顕著なようで、プライマリ・ケアを行う総合医は比較的よく話をきいてくれます。そもそも患者の話を多少なりと聞いてくれる医師は全体の70%程のようですから医師の考え方や経営方針などで変わってくるということなのでしょう。

日本でも…

外来で病院に行くと殆ど医師とお話をする時間はありません。 一時間待ち5分診療というのはザラです。 とにかく患者が多くて医師にはゆっくりと話と聞いている時間が無いのでしょうが、それよりも大きな原因として、病気を診断するのに科学的な検査結果を重視し、問診を軽く見るようになってきたことが問題でしょう。 実際、患者の口から出る訴えは主観的な物が多く、病気に無関係な話や無意味な話が程んどです。医師はその中から必要な部分だけを取捨選択して診断をつけるのですが、現代ではそのような時間の余裕が取れないし、取る意味がないということなのでしょう。
しかし、特に内科では、日頃我々が病院にかかる一般的な病気では特別な治療を行わなくても治るものが多く、薬をほとんど出さない医者というのも少数ながら存在します。そのような医者は問診を重視し、不要と思える検査や薬を極力排除するのですが、今の医療体制ではこのような医療を提供しても全くお金は儲かりません。 不要であると思える検査や、飲まなくてもほっとけば治る病に対してでも何らかの薬を処方しないと儲からない。それが日本の保険制度というものです。
患者の側もせっかく医者にかかったのだから何らかの処置を希望します。特に日本人は薬が好きなようで、病院に行くのは薬をもらうためという方も多くいます。 皆保険制度のおかげで非常に安く薬が手に入るものですから患者にとっても医者にとってもWin-Winな関係と言うわけです。 しかしながらその影で国の医療費は増大し続け、大量に医療を消費する高齢者と殆ど使わない若年者の間で不公平感が広がっています。

問診

本来、問診は病気の診断のためだけに行うものではありません。治療効果を出すために、医師と患者の人間関係を構築して信用しあうことも、その人の性格や生活を垣間見て治療方針をたてるのにも必要なものです。 しかし、診断は科学的データでつける。特定の病気には特定の治療。治療したければ生活を犠牲にしてでも治療にかかること。医師にこのような考えがあると、だんだんと問診を行う必要がなくなってきます。 現代では人のつながりは希薄なので最もないがしろにされている診断法というのも納得です。
問診11秒は効率的といえば効率的。 医療として良いか悪いかは治療結果で判断するとして、あとはそれぞれの信念や価値観、倫理観、好みで意見が分かれるところですね。
 
 

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