念のために!!

私が使うのは鍼灸術で東洋医ですが、西洋医学は嫌いではありません。 寧ろ西洋医学のほうが色々と分かりやすいので好きな部分もあります。  実際の治療は東洋医学の考え方で行うほうが圧倒的に多いのですが、自分ではどちらかと言うと中洋の折衷派だと思っています。 なので西洋医学、東洋医学どちらかの狂信者でもなければ、どちらにもアレルギーを持ってもいません。

 

今回は医療とは切っても切れない保険のお話です。

現代は2人に1人が癌になる時代だと言われます。だからがん保険に入らないと将来、治療費で困る確率が高いと。 どうしてこんな数字が出てきているのか? そもそもこの数字は本当なのか? 考えたことはありますか?

詳しいお話はあとに回して、さっそく答えを(笑) 

「この数字は恐怖心を煽り保険商品を売るために、意図的に操作されたトリックであり、確率としてはがん保険が本当に必要になるケースは少ない。」 と言わざるを得ません。

これは医学や統計学的なお話を全く知らなくてもすぐに分かる事です。 それは本当に2人に1人が癌になり保険金が支払われてしまうと、がん保険が成り立たないからです。 

保険は契約者から集めたお金をプールするなり運用するなりして必要となった人に給付する相互扶助の仕組みです。 しかし、保険会社にも運営のためのコスト(契約者が付加保険料として支払っている)がかかっているので集めたお金も満額は支払いには使えません。 コスト部分は殆どの保険会社が秘密にしていますが一部開示しているところもあって、だいたい20%~40%の間のようです。 つまり契約者の給付に使えるお金は80~60%ほど。 たとえ保険会社のコストを考えず集めたお金をただ分けるだけでも契約者の半数が給付対象になればすぐに成り立たなくなるでしょうが、それがもっと少ない額なのですから普通に考えて契約者の50%にも給付していたら保険会社が破綻します。 

当然ですが保険会社は営利目的の企業です。 全ての保険商品は儲かるから売るのであって、損をする商品なんてそもそも売りません。 つまりはコストを差し引いても給付金(支出)より保険料(収入)の方が多いと言うこと。

保険商品は本当に賢い理系のプロ達があらゆる考察、試算シュミレーションをして絶対に損をしないように作られています。 2人に1人ががんになるとは保険商品を作った人は誰も思っていません。 癌になる確率が50%?!→だから保険に入ろう という短絡的思考は保険会社の思うツボです(笑)

 

さて、「2人に1人が癌になる」の根拠は、こういったもののようです。

              (別冊 宝島 「がん治療」のウソ より)

この表のデータ元は「国立がん研究センター」なので本来は保険会社も宝島も悪いわけではありません。国の機関が何のためにこのような集計の仕方をしているのか?というのはとりあえず置いといて…。

ガンが色々とあってそれぞれ一生の内に罹る可能性が数%ほど。 それを合計して約半分。なので2人に1人ががんになる。

なんで合計してるんでしょう? これはおかしいでしょ?!

この表は一人の人が全てのガンに一度ずつ罹ることが前提になってるのでしょうか?(笑)

がんの原発は当然、一人一箇所。たとえ進行していっても普通はすべての臓器に全身転移なんてしません。 なのにこの表のように全ての癌を合計するということに何か意味があるのでしょうか?

本来は癌になる確率が先にあってその内訳が◯◯ガンで数%というのが本来のデータの見方のはずです。しかし、その全体数(癌になる確率)は出されていません。

「2人に1人が癌になる」と言うのは結局、話題作りのためのトリックですね。 それを保険会社がうまく利用しているだけです。 

 

ついでに、ガンになる確率は加齢とともに高まります。このデータは74歳までにかかる確率なのですが、若い人の罹患確率は現されている数値より更に低いという事です。 日本人の平均年齢が80程度だとしたら74歳というのはちょっと早いけど天寿を全うしたと言っても良い年齢ゾーン。 果たして本当の死因はガンなのか寿命なのか。 そう考えると若い人にがん保険がどれだけ必要なのか…。

もし若いうちに癌になり、イザ治療となった時にも日本には高額医療制度があるので100万円ほどの貯金があればとりあえずの医療費はなんとかなります。 保険未承認の先進医療を行いたい人だけが本当の意味でがん保険の恩恵に預かれますが、保険未承認の治療法には保険適応の治療より大きなリスクもあります。最先端が自分にとって最高とは限らないんです。

 

がん保険は癌になったときの金銭的、精神的安心を買っているのだし、税金対策にもなるので無意味とは言いませんが、メディアの発表やセールストークをそのまま鵜呑みにするのは如何なものでしょう。 きっと確率的に自分にはまだ不要と思えるものも多いのではないでしょうか? 保険の支払額と給付額、癌に罹る可能性。色々と考えてみないといけないと思います。