アピセラピーとはミツバチの針を 体に刺して様々な病気の治療を行おうとするものです。
私も以前、取り上げました。https://wp.me/p8Y91W-Pg
古くからある民間療法で、その歴史はギリシアのヒポクラテスにまでさかのぼるとか…。
今回はその治療法で死者が出たという記事が見つかりました。 https://www.cnn.co.jp/world/35116583.html
死因は多臓器不全となっています。 アナフィラキシーが疑われますが、脳梗塞も同時に見つかっています。そのためか原因を断定してはいません。
この症状を起こした原因が蜂毒によるものなのかどうかは議論の分かれるところですが、可能性は否定できません。
大方の見方としてはアナフィラキシーだという意見が大勢を占めるのではないでしょうか。
蜂毒の成分はかなり複雑で アミン類、ペプチド類、酵素、ポリアミン類、糖類などに分けられます。人の脳や神経に作用する成分も含まれており、 メリチンと言う強い抗炎症作用を持つ成分も含まれます。 毒のカクテルという異名を持つスズメバチの毒とは比べ物にならないほど弱いミツバチの毒ではありますが、 様々な成分が入っているため人間の体でどのような作用を及ぼすか厳密に分かっているわけではありません。
つまり今回の事故はミツバチの毒によるアナフィラキシー、蜂毒により急速に血栓ができたのか、たまたまどこかに血栓があって、蜂に刺された刺激によってそれが動き出して頭で詰まったのか この記事では完全な断定ができないということです。
しかしなんにしても、死亡された方の体調が良くなかったことは間違いがないでしょう。 アレルギーであっても体調が良い時と悪い時ではその反応に大きな差があります。体の中に血栓ができても自然に溶けてなくなってしまうこともあります。
さらに同じミツバチでも、全て同じ毒の成分を持っているとは限りません。住んでいる地域や食べていたもの。さらには遺伝や蜂ごとの個体差。こういったものが必ずあり たまたま特定の患者さんに対して強いアレルギーを起こす成分をたくさん蓄えていたと言うことがあっても全く不思議ではありません。
この辺りは自然をそのまま利用した医療のどうしようもない欠点だと言えます。 人工的に生成したり調整したりすればこういった品質のばらつきによる事故は非常に起こりにくくなるため自然療法を過信している方には理解しておいてもらいたいところです。 自然からの恩恵は人間の知恵を加え、手を入れて初めて人間に優しい治療法になります。自然は人間のためにあるのではないため、自然をそのまま体に取り入れることが健康になると言う盲信は避けなければなりません。
もちろん超加工食品のような手の加えすぎも体に良くないと言うことは ほぼ間違いがないので何事もほどほどにということです。
どのような医療に事故は付きもの。仕方がない一面もありますが、とにかく今回亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。