このページでは一般の人にあまり馴染みがない鍼灸治療の事例のうち代表的なものを紹介いたします。その他の症例報告はコチラから御覧ください。
初めに
鍼灸は西洋医学で説明がつかない。治療法がない。病気とされないなどの各種病態にも効果が望めるものでありますが魔法ではありません。どんなものも一度で治ったり、なんでも目に見えてどんどん良くなるという幻想をお持ちの方は今すぐ捨ててください。
西洋医学であっても同じですが、往々にして「発症から時間が短いもの」「症状が強いもの」「原因が単純なもの」等は少数回の治療で改善する可能性が高いです。
しかし、「発症してから長いもの」「症状が弱いもの」「原因が複数あったり別にあるもの」等は治療が長引く傾向にあります。
東洋医学も科学ですから、病気になること。症状が長引くことには理由があります。その理由を無視して治る道理はありません。
急性腰痛症(ぎっくり腰)
症状が派手で急性に起こるものの代表として鍼灸が最も得意とする疾患です。
病院では痛み止めと湿布程度の治療で完治まで数ヶ月と言われたりすることもありますが、鍼灸の場合は本当にぎっくり腰であるなら、大抵は1度の治療で7~8割は軽減し、這いずっていた人も歩いて帰れます。 残った痛みも数回治療することで治ります。
但し、ぎっくり腰が起こる体にはちゃんとした理由が隠れており、それを直さないと再発の可能性が高いと言えます。ぎっくり腰が起こりにくい体に治していくにはそれなりの時間がかかります。
どこまで治療するのかは個人の価値観に寄るものなので患者さん次第となります。
慢性腰痛
何ヶ月以上にも渡る腰痛とされています。人は生害に8割から9割の方が腰痛を発症し、40歳以上に限定しても約4割ほどの方が慢性的に患われているポピュラーな疾患です。
腰痛の原因は様々ですが病院で原因のつかめない非特異性腰痛が8割以上とされており、国内の年間経済損失は3兆円にも及ぶそうです。
近年、西洋医学においても腰痛の原因は精神的なストレスであるとか、慢性疼痛の一つとして脳機能の問題であるとかと東洋医学の考え方に近いものが取り入れられるようになりました。しかし、治療法はこれまでとあまり変わることはなく基本的には痛みを止めていればそのうち治るだろうというものです。
漢方の場合、西洋医学的な解釈ではありませんが腰痛の原因もある程度特定されており治療法も確立しています。そのため痛みを止めながら根本的な治療を行うという事が可能となっています。特に鍼灸はその効果が高く即効性もあることから治療の第一選択とされてきました。
とは言え、すべての腰痛が魔法のように消えるものでは有りません。長く患ったものは相応の時間と労力をかける必要があります。それは原因たるものがすぐには取れないからです。
また、西洋医学的な診断名が腰椎椎間板ヘルニアだろうと脊柱菅狭窄症だろうと何でも同じですが、骨などの異常が痛みに直結しているとは限りません。これも近年、西洋医学でも出されれている意見でありヘルニアにおいては自然治癒するものもあるとされています。 そのほか、腰痛はそれ以外の様々な病(膝痛、精神疾患など)との関連性も指摘されています。
ありふれたタダの腰痛ではありますが、現代医学も未だ解明できているわけではありません。洋の東西に関わらずうまく利用して痛みのない快適な生活を手に入れていただければと思います。