https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=11034
無駄な医療が何をもたらすか? といえば、その害は患者だけでなく、その周りの人。社会的な損失も大きい。当然ですね…。
①治療に結びつかない検査はしない
②薬は診断に適した必要最低限の処方
③診断に適した薬を処方するのであって、処方に適した診断をするのではない
④身体にメスを入れるのは極力避ける
⑤医師の趣向で治療をするのではなくEBMが大切
⑥神の手、スーパードクターは存在しない
⑦医療に奇跡は存在しない、そもそもの生命力が人の命を救う
⑧医師の使命は命を救う治療をすることが唯一ではなく、尊厳死も選択のひとつである
それぞれを言及していくのはまたの機会にするとして、これは医師に限らず、我々鍼灸師でも当てはまることです。
①治療に結びつかない検査はしない
当然ですね。保険を使った場合は医療費の面、他にも身体への負担などの問題がありますが、なにより無闇矢鱈と患者さんの身体について調べるのはある意味でプライバシーの侵害です。治療時間も限られているのでなるべく効率よくしないといけません。
②薬は診断に適した必要最低限の処方
ポリファーマシーが問題となっている現代は患者さんの側もなるべく薬を飲みたくないという方も多いです。「念の為」や「良くわからないから」などの曖昧な理由で処方薬が増えてはたまりませんw
鍼灸師は薬を出すことはないですが、医食同源の名のもとに食事指導することはあります。効力に差があるとはいえ考え方は同じです。
③診断に適した薬を処方するのであって、処方に適した診断をするのではない
完全に治療者側の力不足です。 治療法の持ち駒が少ない時に起こりがちでパターン化されている治療法を採用している場合に多く発生します。 これで治るか治らないかは処方された薬や施術にその人の病態が当てはまったかどうか?という単なる2択の運試しにすぎませんw
④身体にメスを入れるのは極力避ける
基本的に外科医向けの項目ですね。今は法律により規制されてできませんが、鍼灸術にも昔は切るという手法がありました。 切ると基本的に二度と取り返しがつかないので、慎重に行わないとだめなのは間違いないでしょう。
⑤医師の趣向で治療をするのではなくEBMが大切
EBM( Evidence based medicine ) 「個々の患者のケアに関わる意思を決定するために、最新かつ最良の根拠(エビデンス)を、一貫性を持って明示的な態度で思慮深く用いること」 とされています。 何にでもエビデンスを求めるのは最近の流行りですw とは言え、医師の感覚で治療されては堪らないので非常に重要です。
西洋医学は基礎実験からくる現代医学、科学がその根拠ですが、東洋医学の場合は過去の経験と考察の蓄積と記録。つまりは昔から残されている多くの漢方図書がその根拠となります。
⑥神の手、スーパードクターは存在しない
いません。ゴッドハンド!!みたいなキャッチコピーはあくまでも集客のための宣伝ですw
少なくとも医療に関しては「神は人の手によって作られる」ただの幻想です。
⑦医療に奇跡は存在しない、そもそもの生命力が人の命を救う
これも⑥とほぼ同じですが、西洋医学はもとより東洋医学も当たり前に科学です。因果関係のない奇跡は絶対に起こりません。
また、医療が及ぼす事のできる範囲は生命のほんの一部分であってできることは限られています。本当に病を治しているのは本人の生きる力です。薬も鍼灸もその手助けをしているに過ぎません。
⑧医師の使命は命を救う治療をすることが唯一ではなく、尊厳死も選択のひとつである
そのとおりだと思います。特に西洋医学は患者の死を「敗北」と捉える趣が強くあります。 東洋医学はそのあたりが結構ドライで、ダメなものはダメ。とすっぱり割り切る感がありますw
しかし、救命は「唯一」ではありませんが、「第一」なのは間違いありません。あとは思想や信念の問題ですよね…。
経済優先の今の世の中。過度な情報とそれに振り回される人々。信用や権威を使って相対的弱者から搾取する医療、介護者。いろいろと問題があります。 現代はぼーっとしてると損な生き方しかできない社会であるのは間違いないでしょう。 患者は賢くなる必要があり、医療者は努力を惜しむな。ということでしょうね(汗)