医師と医者。この言葉の意味するところは別です。

医師とは、医師免許を取得した者のみです。

医者とは医に関わるもの全て。 医療品を使ったり、心を診たり体を診たりする全ての職業…。当然、われわれ鍼灸師も医者です。

ただし、これらの言葉は混同されて使われていますので医師=医者という構図になっています。 特に日本では…。

日本に於いては現代西洋医学の医師のみが医者としての絶対的な地位を持っていて、他の医業を行う職種に様々な制限をかけています。 国民の健康を保護するためなどのお題目はありますが、その他にも様々な事情や深い闇がありそうです。

お国が違えばこの事情も違ってきて、鍼灸をはじめとする中国医学やホメオパシー、カイロプラクティクなどさまざまな医者がそこそこの国できちんと医者として認められています。これらは日本では代替医療と呼ばれるものの類ですね。

日本のように現代科学を用いて全てを解明しようとするのもひとつの方法ではありますが、残念ながら現代の科学はそこまで進んではいません。

西洋医学ひとつに絞っても、科学的に何でだかわからないが効果がある。ということは沢山あります。 それが、現代科学の結晶である薬でもです。

科学的に解明されている薬の「薬理」はほんの一部に過ぎず、体全体で薬がどういった働きをしているのかを全て知ってる人は世界中のどこにもいません。そのため、未だに使い古されたような薬の新たな作用とかが話題に上ったりするのです。

新たな効果が見つかると言うことは未だ知らない副作用もあるわけで、これらは結局、その薬のことを良くわからないまま使っているということに他なりません。

では、現代医学でわからない部分はどういった説明をされているかというと、何も考えないか、「多分こうだろう」という仮説で行われています。

今の科学と西洋医学で行うどのような治療も、わかっている作用の一部分だけを抜き出し、良くわからない部分は仮説を立て、説明のつく所だけを都合よく使って説明をしています。こうやって、良くわからない所を無視する形で科学的根拠(エビデンス)があると言っているのです。

無視した部分には一切触れませんので、世の中の人はまるで科学で体や治療に関する全てを解明していて、医師はそのすべてを解って治療を行っていると勘違いします。

それでも効果が出ればよいのですが、(本当にキチンとした科学的根拠があれば効かないとおかしい。)効かなかった場合に、説明がつきません。そのため、別の薬を出してきて、また試すのです。 それで効かなければまた次を…。こうなるとエビデンスとやらはどこにいくのでしょう(笑)

ただし、この試行錯誤自体は全く悪くありません。どの医学を用いても、必ず治るという確証などはなく、推測と試行錯誤の結果で成り立っていますから。

こういった場合に本来、医者がまず行うべきことは、なぜ効かないかの考察です。
その部分を抜きにして、次の治療を行うことはタダの人体実験と変わりません。
人が治療に耐えるための体力や気力は無限ではないですから、いくら試行錯誤の結果で治すと言っても限度があります。

特に西洋医学の治療の多くは良くも悪くも体への影響が強い分、患者への負担が大きいので効かない治療を繰り返すと泥沼にはまっていきます…。

西洋医学も他の代替医療も決して万能ではありません。同じように医師も医者の中で特別であるということはありません。
もし、医師だけが特別だというなら、日本という国によってその権利の多くを保護されているから特別なだけであり、医者としてはなんら他の方法を取るものと変わりません。 全ての医者は病に対し非常に無力です。

 
それでも、医者は有効な考察するための知識を得るために皆、時間と費用をかけて学習したのです。

決して流れ作業的な治療をするために勉強したわけでも、患者を煙に巻いてごまかすために勉強したわけでもありません。
貴方のかかりつけの医者はきちんと考えて治療しているでしょうか?

既存権利にしばられてまともな医療を行えない医師はたくさんいますが、それでも患者は先生と呼ぶのです。医者であるならば過度な利益や権利を棄てて患者のために尽くすのが本来の姿です。

良い医者と言うのは大量の患者を診る人のことではなく、治せるものは確実に治し、治らずに苦しむ人のために考えて試行錯誤し治療する者のことではないかと思います。 その結果、病だけでなく、人やその人の人生をまるごと治していく。そうなれば最高です。

 

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