病は基本的に治りにくいもの

生物は生きている限り必ず老い、病みます。 きっとそんなことを言われなくても皆さん解っていると言われるでしょう。 では病気になったときにちゃんと治りますか?と聞かれたらどうでしょう?

殆どの方は「治る」と答えると思います。 これまで病気になっても治っているし、特に大きな後遺症も起きず困ったこともなく生きてきているのでしょうから。

しかし、我々東洋医学者の目から見ると病は非常に治りにくいと言えます。こう言うと、「東洋医学は効果が出るのに時間がかかるから」とか「そもそも非科学的で効果がない」などの意見が出てきますが、冷静に考えると現代西洋医学であっても病は基本的に治りにくいものなのです。

確かに人類は西洋医学をつかって様々な病を克服してきています。しかし、その殆どは感染症。また、命に関わる可能性の高いものです。

しかし、現実的に病といえばもっと日常的に起こるもののほうが気になります。数十年に一回起こるかどうかの未知の病よりも毎年ひく風邪のほうが普段の生活で問題になるようにもっと生活に密着した病を治せないと元気で長生きするという多くの人の希望は果たせません。 西洋医学においてそういった病の殆どはただ症状を抑えているだけで治しているわけではありません。 病を治しているのは自分の体であって薬で症状を抑えている間に勝手に治っているのです。

自然に治るならそれでもいいじゃないか? 

そう思うのは一般人の常識的な考え方です。 しかし東洋医学では健康な状態からいきなり病気になるのではなく、気づかない原因を持っていて知らず識らずのうちに病気になるという考え方があります。 さらに、病気になって治った後も必ずしも元の体に戻ったわけでなく何らかのダメージを受けている。それは回復しないこともある。とも考えられます。

つまり、病気になるということは本人が気づこうと気づかまいと以前と同じではない。言い換えれば死へ生命を加速するのが病であり、病によって老化が促進されたと考えられます。

老化はあらゆる病気の最大の原因です。少しの老化は少しの体内の変化を生み、少しの体調不良をおこします。 若いうちはそれも問題になりませんが、40代、50代と歳を重ねるにつれ起こした病がいつまでも尾を引く。治ったはずなのに体調が良くない。しばらくしたら別の病にかかる。などが起こります。

西洋医学では一定期間特定の病気が治れば「治った」ですが東洋医学は一人の一生をアナログ的に捉えた変化を見るので西洋医学では治ったと言われる病が(別の病名がついても)続いていると取ることもあります。

そう考えていくと健康と病気はデジタル的に切り替わるのではなく一生を通じてアナログ的に続く病の継続と捉えることもできます。そしてこのような経過をとる病は往々にしてしつこい慢性病です。

予防は簡単で病気は治すのが難しい。 これは昔の人が伝えている真実です。だから予防は治療に勝り、予防に重点を置く人は賢人だといわれます。

④へつづく

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