このブログの症例報告では私がこれまでに診てきた患者さんの症例について色々と書き連ねて行きたいと思います。 もちろん、本人の特定は出来ないような内容でお送りしますので抽象的になる部分もあると思いますが、同じような症状にお悩みの方の一助になれば嬉しく思います。
40代男 不整脈、動悸、胸痛、めまい、吐き気、背中の痛みなどを訴え病院に行き、大動脈弁閉鎖不全症の中~高度と診断を受ける。 現在、投薬はなく経過観察となる。
心内膜性は心臓の弁のどれかが何かしらの形で壊れ、機能が不完全になっているものなので根治するには外科手術しかありません。(今回は大動脈弁閉鎖不全) なので進行性で不可逆的な病です。 とは言え、心臓の外科手術はおいそれと行いたいものではありません。 現在の手術の成功確率は97%ほどを超えていてかなり高いですが、患者本人からすれば失敗=死であり、統計的な数字がいくら高いからといっても「じゃあさっさとやっとこうか」とはなかなかならないのです。 もちろん成功しても術後のリスクや制限がそれなりにあります。
また、弁が多少壊れていても心臓はすぐにダメになるわけでないため、心機能が正常域で保たれているうちは医者も手術を勧めません。
そこで、症状を抑えながら心臓をできるだけ保護することで弁の破壊速度を遅らせるというのが現実的な治療となります。つまり、できるだけ手術のタイミングを先延ばしにすることが目的です。 そうすることで病と共存し、実質的な寿命と制限のない生活の時間を最長化しようとするのです。
今回の場合、症状がいろいろと出ていますが、心臓保護の観点や患者の心身において特に問題となる症状は不整脈、動悸です。 これらはその種類によっては血栓症などによる二次的な病で患者の命にも関わるものなので早急に対応しないといけません。
普通ならば内科的な治療として抗不整脈薬が処方されます。しかし今回、患者は薬を拒否したため鍼灸での治療となりました。
実際、抗不整脈薬には副作用による催不整脈作用が認められていてハイリスク薬となっています。
現在、診断を受けて治療開始から約2週間。ほぼ毎日、治療を行っています。各種症状と動悸や不整脈の頻度、感じ方はかなり低下していますが、今後も慎重な経過観察が必要です。 次に病院に行くのは3ヶ月後なので病院からもらったデータを見ながら継続治療となります。
この疾患に関しては今後も継続して報告していきたいと思います。少しでも同じ様な悩みをお持ちの方の役にたてますように…。