変わらないことの価値

人間やその体調を含むこの世の全て「森羅万象」は変化し続けています。 なので食べ物を食べた体もその効果により刻一刻と変化している訳ですが、何かを食べ続け、なんの効果が出なかった。変化がなかった時にはどう考えるのでしょうか?

 

以前にもお話したように、食べたものによって狙った効果が出なかったり、不都合な症状が出ることもありますがこれらは失敗ではありません。 同じように変化がなかった場合も失敗では無いのです。 貴方の体にとって気付けるくらい変化を起こす力が食べたものになかっただけのこと。 繰り返しますが必ず体は変わっています。 変化に気づかないだけです。 変化が微細すぎてわからない。 これが真実です。

 

食べ物が無効だった時にはこうなっています。

体に影響を及ぼす力<体がそのままで居ようとする力 このような図式の場合は効果が目に見えて現れません。

生物の体には生きていくために絶対に必要な「恒常性」と言うものがあります。これは「ホメオスタシス」とも呼ばれます。

これは体内の環境を一定に保とうとする力で健康の維持や病気の維持に大きく関わっています。 なので「体がそのままで居ようとする力」とはホメオスタシスのことです。 今回の食べ物(薬)とはこのホメオスタシスの力に打ち勝って作用を起こすものです。

変化がない場合、食べたものの作用がホメオスタシスに打ち消されている訳です。 なので見た目の変化は現れません。 しかし、微細かもしれませんが体内環境や体内の反応は必ず変わっています。

貴方はこのことに価値を見いだせるでしょうか?

短期的な治療として考えた場合、ホメオスタシスに打ち勝つだけの効果を持つ何かを摂る必要があるでしょう。 

強い作用を持つ食べ物(薬)はホメオスタシスを大きく崩します。 そうすると人の体は恒常性を維持するために食べ物(薬)の効果と逆の働きを強く起こします。 一般的な治療の成功とはこのホメオスタシスの作用を振り切り、食べ物の作用が勝ち、程よい状態で恒常性が維持されることですが、これがなかなか上手くいきません。特に長患いしている人や進行性の病は治療の効果が切れるとホメオスタシスの作用によりすぐ元の病に戻ろうとします。 

こうやって何度も効果の強い食べ物を取り続け、ホメオスタシスを揺さぶり続けるのが普通の人が考える一般的な治療ということです。 でも考えて見てください。  貴方は同じ場所にいようと頑張っている時に、強い外部の力で突き飛ばされたり、強引に引き寄せられたり、高い所から落とされたり… 繰り返し繰り返し強引な移動をさせられると、ものすごく疲れると思いませんか? 

そう、強い治療は必ず疲れるんです。 だから体力のない人には強い治療を行なえません。 

 

健康維持として考えた場合、体調が変わらないと言うことはとても素晴らしいことです。

食養などでは弱い力で優しくホメオスタシスの範囲内で体内の環境を微調整してる訳です。 見た目や実感には現れませんが健康維持という面で考えればこれほど優秀な治療はありません。

また、強い治療に耐えうるだけの力がない人はこの優しい方法しか使えないのです。当然、効果が現れるまでに時間がかかりますが、病人が治療によって不必要に体力を失うという事は最悪で何も良いことがありません。 体力を失うということは病への耐性を落とし、虚弱へと向かいます。 その結果、今よりも更に優しい治療しか受け付けられなくなりますので以前よりももっと治しにくくなります。  なのでもし、体力のない人に強い治療を行うときは一か八かという賭けの側面が必ずあります。よほどの事情がないと普通はそんな治療しません。

 

人はせっかちですから何か治療を行うとすぐに結果を求めます。 そして、直ちに変化がでないと価値が無いものと考えがちですが、こと健康に関わる場合は、本当に価値があるのは変化しないこと。変化させないこと。ゆっくり変わること。という場合が大いにありえるのです。 健康になるため、また維持するためには必ず覚えておく必要があります。

 

つづく…