https://hms.harvard.edu/news/exploring-science-acupuncture
https://www.nature.com/articles/s41586-021-04001-4
https://nazology.net/archives/99242
ハーバード発 鍼灸の科学的根拠
10月13日付でNatureに掲載されたもののようです。
いまのところ現代科学では作用理論不明の鍼灸治療ですが、その一部になり得る証拠をがあります。
もともとこのチームは2014年に電気鍼治療に関する研究を発表していて、そこでは迷走神経-副腎軸が電気刺激で活性化することでサイトカインストームを減少させる効果があることを報告しています。
今回はその働きを持つニューロンの分布を発表したようです。
腹部の腹筋よりも、後肢の深部筋膜組織に3~4倍多く存在しているとのこと。とはいえ、これはマウスでの話。人間でも同じかどうかはわかりません。
しかし、鍼灸の物理刺激が生体反応の変化を起こすという科学的根拠にはなりそうです。また、なぜツボごとに特定の作用があるとされるのかも説明がついてきます。
後肢の深部筋膜組織というのも見逃せません。現状、代替医療で体の内部を直接触れることができるのは鍼治療だけです。 治療を受けた人の感覚的なものだけでなく科学的に効果が証明されるのはとてもありがたいことですね。
さて、今回の研究発表で問題となっている 迷走神経-副腎軸は副腎に信号を送りドーパミンを放出させる経路だとされています。ドーパミンが免疫系にどれくらい影響を与えるのかが気になったところ丁度いいものが出てきました。https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/56/7/56_KJ00004661416/_pdf
ナイーブT細胞などへの影響があるということは炎症だけでなく他の様々な病気にも作用させることができそうです。まぁ西洋医学では病は基本的に「炎症」なのでこれを主に考えておけば良い場合が多いですけれども(笑)
こういったことを知っていればより効率的に治療もできるし患者さんに作用機序の説明もしやすくなります。今後の研究が楽しみです。