老化には大きな個人差が有る
80代でガンを発症する人が半数ほどいるとして、発症しない人も半数います。 同じように歳を重ねたのに、発ガンした人。しない人。これらの人達にある差は何なのでしょう? 運でしょうか? 遺伝でしょうか? 生活習慣でしょうか?
ガンの発生原因は特定されておらず、様々な要因がありそれらが重なっているとされています。なので上記のものは全てその可能性があると考えられます。 このうち運や遺伝は自己努力ではどうしようもないことで正に神の領域としか言えませんが、生活習慣だけは心がけ次第でいくらでも改善できます。 鍼灸を始めとする東洋医学的な治療ではこの生活習慣との関わりの深い病を扱うことが非常に多いのです。
生活習慣と言えば、食べる。寝る。出す。運動する。の改善が基本です。 これらの「何を」「どれだけ?」という各論にはここでは触れません。 そのような各論よりももっと大きな意味が生活習慣の改善にはあります。 それは老化の予防。生活習慣によって老化のスピードは明らかに変化します。
生活習慣が悪いとどうなるか?
一言で言えば疲れます。 しかし、ほとんどの人はそれを自覚できません。生活習慣を正してみて体調が良くなり、始めて気づくことがほとんどです。 疲れたままの状態が続くと行き着く先は何らかの病です。 発病するのは内科系とは限りません。 外科系の病。例えば捻挫や骨折などが起こることもあります。
生活習慣は体の調子を左右します。 この事に異を唱える人はいないでしょう。 もし反論が有る方は3日ほど睡眠時間を1時間程度にでもしてみてください。 体調が優れないのがよく分かりますw
なぜでしょう? 睡眠不足だから当たり前だ!という意見は尤もですが、睡眠が足りないと何故疲れるのでしょう?
難しいことは置いておいて端的に言えば、これは「体内の生理活動がうまく働かくなるから」です。 生物は生きていくために必要な化学反応を体中で無数に同時進行させています。 これらが円滑に正常に行われていれば体調が良いのですが、逆に睡眠不足などで生活習慣が乱れていれば上手く反応できなくなります。 すると生物は明らかに生命力が衰え、本来のパフォーマンスが発揮できなくなります。
これは運動機能。思考や記憶。五感すべての感覚。そして新陳代謝。その他生きていくのに必要なありとあらゆる全ての機能に関わります。
こういった機能が急速に不調に陥れば病となり、ジワジワと衰えると起こるのが早老化です。 老化するから機能が衰える。 機能が衰えるから老化する。表裏一体です。
一時的な不調は生活を管理して休息をとればもとに戻るでしょう。若ければ尚更回復は早いです。 しかし殆どの場合、病気になってもそれを治すことばかりに気がいって、老化の促進には気づかずにいます。 このような状態だと単に病気やその症状だけを狙っても簡単に治らないことはお分かりいただけるでしょう。 そのため私の鍼灸治療は生活習慣に関わる体内の状態を症状を取ることと同等以上に重視しています。
ガンの予防にも鍼灸
老化がガン発症の最大の原因であることは前回お話しました。ならば老化を食い止めれば発症確率が減るということです。 実年齢はどうしようもありませんが、体内年齢は生活習慣によって大きな個人差があります。 60代でもガンを発症した人。 90代でも大きな病気をせずに畑仕事をしている人。体内年齢の差が出てくるのは人生の後半以降、年を取れば取るほどにその差はハッキリとしていきます。 生活習慣は病気になってからの改善でも遅くはないですが、その場合は治療がメインとなってしまいます。ガンなど老化が進んでから患う病は命をかけても治るかどうか分からないものとなるケースが多いのですから、どうせならガン発病の発生確率そのものをできる限り下げたいと思うのは皆同じはずです。
日常的に早老化するものは生理活動の不調が原因にあるので日頃からこれを修正していれば良いだけのことです。 当然、生活習慣の改善は必須ですが、今の体が求めている完璧な生活を送れる人などはいませんし、何より細かな体の変化は相応の知識がないと気づくことすらできません。 鍼灸治療は予防医学の最たるもので病気にならないようにするための知恵と知識と実践は西洋医学の比ではありません。 治療に、予防にとても有意義なものなのです。