念のために!!
私が使うのは鍼灸術で東洋医ですが、西洋医学は嫌いではありません。 寧ろ西洋医学のほうが色々と分かりやすいので好きな部分もあります。 実際の治療は東洋医学の考え方で行うほうが圧倒的に多いのですが、自分ではどちらかと言うと中洋の折衷派だと思っています。 なので西洋医学、東洋医学どちらかの狂信者でもなければ、どちらにもアレルギーを持ってもいません。
この記事によると初めて国が高齢者の内服薬の使用に関しての指針をだすのだそうな…。
初めて?! 遅い… 遅すぎる。
身の回りで何人も薬の飲み過ぎで健康被害の犠牲になってしまっただろう人はいます。 高齢者は基本的にお医者様の言うことを鵜呑みにする人が多いので出された薬に疑問は持ちません。そのため、それをいいことに 一部の医師は不必要と思える量や種類を出していると思われても仕方がない行為を行っています。
上記の記事にもあるように薬は確かに命のもとで人によっては必ず必要になる大切なものですが、薬は薬であると同時に毒でもあると理解している人が一般にどれだけいるでしょうか? 薬の種類が増えると副作用の可能性が上がり、その副作用も出現の仕方の予想が難しくなる。こんなことは医師ならば当然知っているはずです。 ですから、良い医者、良心的な医者は薬をほとんど出しません。本当に必要な薬を少し出すだけです。 しかし、一般の高齢者は医師を信じ、薬は飲めば飲むほど良いものだと思っている人もいます。その為、薬をたくさん出す医師が良いお医者様だと思っています。 食事の前後に「数種類の薬で一度に数十錠」など常軌を逸している量を飲んでいる方もいて、そんな方は「薬でお腹がいっぱいになるよ…。」 などと言っています。
患者が薬を欲しがる。 出さないとヤブ扱いされる。
日本人は薬が好きなのか兎に角、薬を欲しがります。 少し体調が悪いと薬。 少し体が痛いと薬。 痒いと薬。 眠れないと薬。 その他諸々…とにかく薬。 薬をもらいに病院に行き、薬を飲んでいればその実際の効果にかかわらず安心する。 そんな患者の意向に医師の側も大変そうです。 そして薬を出さないと患者にヤブ扱いされ悪い噂が流れたりもします。 病院も評判商売なのでそれはマズイ。 だから患者がよほど困った要求をしない限り、その要求に応じることが多いようです。 勿論、薬を出せばその分儲かりますしね(笑) ある意味、Win-Winです。
しかし、薬の処方は医師の側に圧倒的な権限が有り、病や薬に関する知識もあります。 一般的な患者とその知識量はまったく比較にならないので医師には大きな権限が与えられているわけですが、その権限の使い方がおかしい事が多い。 医者が自分の儲けのため、無知な患者の愚かな要求を満たすために無駄な投薬することが果たして正しいのか? 医師としてのプライドや患者を治すという使命よりも金儲けや患者「様」の無知から来る要望を忖度して差し上げるのが正しいのか? 非常に疑問です。
不安に思う高齢者も増えている
記事にあるようにクスリ自体に漠然とした不安を持っている方もいます。 TVなどでクスリの副作用などが大々的に取り上げられたり、このブログのように「クスリはある意味、毒だ」などど聞かされていればそれも当たり前でしょうか。
だからといって勝手に服薬を中止したり、量を変えたり、自己判断で薬局で買ってきたクスリやサプリに変えたりするのは宜しくありません。 飲み合わせや作用の問題であらぬ副作用が出たり、そもそも効かなかったり、悪化したり…。 自分の体なので自己責任。誰にも文句を言わない。やってみたいんだ!というのなら止はしませんが、せっかく知識のある医師が処方した薬をその通りに飲まないのなら何のために病院に行ったのでしょう?
…。
などども思いますが 結局、患者側も医師の出す薬の量がいつも多めであることを体験的に悟っているということなのかもしれません。 薬も基本的に自分の予想、希望より効かないものだと経験的に思い込んでいるようにも思います。 そのため、たまにとてもよく効く薬に出会うと「この薬はよく効いた!!」とビックリしている方も見かけます。
いやいや… 薬は本来効くものです。 病理と薬理が合ってさえいれば。 科学なんですから。
結局のところ
患者と医師の信頼関係の問題だと感じます。 医師が患者のことを思い、威厳と博愛を持って本当に適正な種類と量を出していたのなら患者も自己判断などしないでしょう。
患者が医師を信頼して、その通りの効果を薬がもたらせば、出された薬に疑問など持たず言われたとおりに飲むでしょう。
医師の思惑と患者の思い込み。この2つがズレてお互いに勝手なことを行うと薬の効果を適正に評価できなくなります。
これがマズイのです。適正に効果が評価できないと言うことは適正な治療ができません。 当然、適正な薬種が判りません。 適正な量も判りません。 即ち、病は治りません。 よしんば今回は運良く治ったとしても、少なくとも計画的に治せたわけではありませんから次に同じ病にかかった時に治る保証はありません。
処方はある意味カンに頼ったものになりますが、カンだけに頼っていては不都合が何かあった時に責任を追求されて困るのでスタンダードな治療で目安摂取量どおりに投薬と言うのが基本になります。 しかし、薬には効果の出方に個人差があります。 なのに使用量が少なくていい人にも目安量を処方。 多くないと効かない人にも目安量を処方。 どちらも医による害の好例となるでしょう。
「医療の質を向上させ、患者の健康に資すること」
これを現実にするには医師と患者の双方が考えを改め、信頼し合うのが一番です。
単純に医師にだけ投薬量を減らせ!などと指針を出してみたところで殆ど意味は無いでしょう。 患者の意識改革が行われないと医師の意見を無視して市販薬や民間薬などに手を出す人が増えるだけです。
こうなると無駄な投薬からくる医療費削減には役立つかもしれませんが、少なくとも医療の質は上がらないし、患者の健康も悪化していくのでは無いかとさえ思います。
以上、西洋医学に対しての意見となってしまっていますが、東洋医学であっても私の専門の
鍼灸であってもまったく同じです。 医者と患者の信頼関係がないものは医療とは呼べない「似非医療」であってタダの経済活動、生体実験などと患者に思われても仕方がありません。 「患者は医者を信じて治療に専念し、医者は私利私欲に走らず患者を信じて指針と効果を与える努力を行う。」これが医療のあるべき姿ではないでしょうか? もちろん、完璧な医療は恐らく実現不可能です。しかし、質を高めていくことはどこまでもできます。
なのに今の医療ときたら…お国の行うこともなんだか明後日の方向に向いてませんか? NHKで病気の原因などを説明するならその後の経緯や予後の現実も放送するべきです。 新しい治療を公開するなら過度に期待させるような放送はやめて現実的な結果も見せるべきです。 きれいな所ばかりを見せずに、良い事例の裏には治らなかった人もたくさんいるときちんと伝えれば良い。
患者さんの多くはTVなどのメディアで病気や治療の知識を得て、その良い事例を見て、病を知ったような気分になる為なのか「治療すれば治って当たり前」と勘違いしている人も多いのです。 しかし、治療する側の感覚は「高齢者のかかる病の多くは本当の意味では治らない。 治ったとしてもとても時間がかかる」です。 やたらと危機感を煽る必要はないですが、現実は現実として伝えるべきだと思います。
この医者と患者の意識のギャップを埋めるほうが余程、医療の質と国民の健康の向上に役立つと思います。
そうすれば皆、病にかからぬよう予防しますし、かかった病も治すことに躍起にならず上手く付き合っていくことが良いと思うことでしょう。 結果的に過度な医療に殺されることは無くなり、その人なりの天寿をその人なりの健康で迎えられるのではないでしょうか?