「長きは人の願にて、短きものは命なり」 追善供養御和讃というものの一節です。

人は健康長寿を願い、そのために様々な工夫をしますがそこに付け込んで商売するのが医というものです。 人を救い、人の長きを助け、その代償を自分の生活の糧にする。 本来はあってはならないのではないかと思える商売です。 

簡単に助かれば良いですが、もし助けられなかったら。治療において自分は本当にできることを行ったのか? 報酬は貰うべきなのか? 貰った報酬は適正だったのか?

こういったものは心ある医療者ならば、恐らく一度は悩むであろうテーマです。 人により出す答えは様々ですが、無料で診療をしたり、無医村に開業したり、赤ひげのように相手によって貰う金額を変えたり…。

しかし、自分を犠牲にして患者を助け続けることに恐らく未来は無いのです。 病んでいる人は多くいますが、自分は一人。 自分の生活なしにその人達を診ることもできません。 すべての患者を救えないという医の本質を知り、それでもできることをできるだけ行うことに希望をもつしかない業界。 学んで、考えて、実践して。

儲け主義に走ればどれほど楽なことか。 何も考えずにルーチンワークすればなんと気楽なことか。

しかし、それでは助かる人も助からない。 人の願いを叶える手助けもできない。 

命は短く、しかしそれ故に尊い。

人の願いを叶えることができ、鍼灸師になって良かったと心から思える日が来ることを願います。

 

 

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