現代鍼灸医学片論(否定編)

鍼灸師が現代鍼灸医学を否定する

私は鍼灸師です。普段は東洋医学(鍼灸)のメリットを伝える記事が圧倒的に多いため、今回は否定的な意見を述べてみようと思います。 デメリットを明らかにすることで東洋医学のさらなる発展に貢献できれば幸いです。

理解しにくい

当たり前ですが現代人は現代の常識、感性で生きています。そのため、最も理解出来るのが現在の感性であることは明白です。同じ時代に生きていても親子ほどの年の差があればその感性も随分と変わり、お互いに理解できないことも良くあります。 それを思えば、数千年前という人の感性など分かる人はいるはずもなく、もし居たら変人です。

当然、鍼灸のような何千年も前からある医学はその基礎となる考え方、常識、感性が現代のものとは全く異なりるため、現代人には非常に理解じづらい内容となっています。 現代医学のほうが圧倒的にわかりやすく勉強しやすいためにある意味簡単です。

「理解しにくい」ということは則ち「理解されにくい」ということでもあります。伝統医学を現代の目線で見ても理解できるのはほんの一部でしょう。 それが世間一般に誤った鍼灸のイメージが持たれる原因でもあります。

伝えにくい

「理解しにくい」ということは後進の者に伝えにくいということでもあります。単に理解しにくいと言うことに加えて、一部の医学は秘術、門外不出、一子相伝といった秘匿性の高い側面も有ったために、関係者以外には分からなくなっていたりと意図的に伝わりにくいようにされているものもあります。

つまり、徒弟制度による伝承が当たり前の世界だった医学はもともと皆に伝える気がないのです。そのため大変伝わりにくい。 治療者から患者へはもとより、同業である鍼灸師同士でも伝わりません。流派の差、知識の差、理解度の差、思い込みの差…。様々な要因がありますが、もともと伝わりにくいような作りになっているので当然なのです。

お金にならない

鍼灸は現代医学に比べて圧倒的に医療コストが安いですが、それ故にお金が動きません。特に日本では国民皆保険制度があり、保険診療で大量集客、大量診察、大量処置が基本です。鍼灸のような手間ばかりかかり儲からない治療法はサービス提供者にとって効率が悪いだけです。

患者目線で見ると、皆保険による自己負担の少なさは大きなメリットです。前述の通り、保健医療は大量集客が前提の商売なので一人あたりに手間暇のかかる医療は推奨されませんから、鍼灸のような医療は金額が高めに設定されること必定で割高感が大いに起こります。(一部疾患には保険が適応されていますが医師の同意が必要) 患者負担が大きいと利用者も減るので余計にお金は動きません。 そのため、鍼灸を導入する医院、医師は採算重視ではなく医師の信念や嗜好。鍼灸の効果に期待している方か、若しくは他との差別化を目的とした集客手段という意味で行っていることが殆どでしょう。

立場が低い

現代は良くも悪くも西洋医学一辺倒。勢力図は圧倒的に東洋医学不利です。西洋医学の従事者も施設も規模もかけられている費用も全てが桁近いの数字です。数の差はそのまま世間的な立場の差となって現れます。業界団体の力関係を見てもハッキリとそれを示しています。医師会の前には鍼灸師会など塵同然です。

社会的立場は社会的信用、社会的な権力に直結するので鍼灸師という職業、鍼灸という治療法は大変、冷遇されています。

勉強してない

「伝えにくい」医学である鍼灸、漢方は熱心に勉強して初めて理解できます。学校で覚える表面上の理解だけでは駄目で全く使い物になりません。同じ言葉に違う意味。同じ意味に違う語句。様々な理論や比喩。独特な言い回し等、とても沢山のハードルが有り、不勉強なものはガンガンふるい落とされますので私も含めて殆どの者の知識は中途半端です。

基礎的な学校での勉強時間に関しても現代の鍼灸師は一日3~4時間の最低3年間勉強して、単なる記憶型試験である国家試験の合格で免許が取れてしまいます。現代の小学生よりも勉強時間が少ないのです。なので、鍼灸湯液しか主な治療法のなかった科挙制度の頃と比べれば鍼灸師の勉強量は極めて少ないと言えます。臨床に必要な勉強は免許をとってから行うしかないのですが、それは任意。現代の鍼灸師は本来であれば専門の鍼灸に加え現代医学の勉強も行い続ける必要があるため、昔に比べてやることが増えているのが当然なはずですが、果たしてどれだけの人が十分な時間をとっているのかは疑問です。

効果がない

遠い昔から無くならずに受け継がれてきた医学に治療効果が無いわけがないのですが、敢えてここでは効果がないという論調を取ります。

効果が出ない主な理由は上記項目によります。 つまり、そもそも治療者が不勉強であり、加えて社会的事情からまともな経験を積む機会は少ない。更にそのどちらもが行われていたとしても、現代の感性に基づいた誤った理解から起こっていることが多い。トレーニングの思想、方法が違っているのだから本来の効果が出る訳がありません。

西洋医学のように効果を実感しない

西洋、東洋に限らず、医学の効果を最も実感するのは急性期の治療です。特に、西洋医学には抗生物質、ステロイド等による治療効果の高さがあります。

過去には鍼灸でも西洋医学と同じ病の急性期を治し、多くの人の命を救っていますが、現代でそういった切羽詰まる状況を診る鍼灸師は皆無でしょう。

また、外科手術に関しては西洋医学に圧倒的な軍配が上がります。レントゲン、MRIなど画像診断に寄る目に見える形の変化は有無を言わさず治療効果を認める以外ありません。

基本的に鍼灸が得意とするのは痛みなどの実態が掴めない病、慢性病、内科系です。鍼灸も急性期や悪化時には劇的な効果を生みますが、上記の通りそういった場には既に西洋医学があることが殆どで鍼灸が必要とされる機会は余りありません。日常的に診ることの多い慢性期の病は基本的に西洋医学であろうと、他のどんな医療であってもいきなり治すことは不可能です。つまり、効果は緩やかなので強く実感できるのは治療直後というよりも、随分先ということになります。

治療者の技量に左右されすぎる

知識、技術…。個人に依存する要素が強すぎます。西洋医学のように標準治療などどガイドラインを作ってみてもあまり役に立ちません。それは既に現代的な思考であって本流からはハズレています。鍼灸ではその場、その患者に応じた適切な治療が必要で、効果的な治療ができる条件は治療者の知識と腕、患者とのめぐり合わせ(運)にかかっているとしか言いようがありません。

環境は悪い

これまでに紹介したような事情が有りながら、さらに加えて鍼灸を取り巻く環境は良いとは言えません。

コンビニよりも歯科医よりも多くなった鍼灸ができる治療院。さらに鍼灸師は毎年数千人増えています。西洋医学だけでなくコメディカル、パラメディカルといわれる他の治療業との競争に勝って生きていくのは大変です。

雇われれば西洋医学式大量集客による鍼打ちマシーンのような作業治療が多く、給料も良くはありません。そもそも鍼を打つ機会よりもマッサージのような専門外の手技をしなければならない事が多くあり、鍼灸本来の効果も仕事の良さも実感できません。 

鍼灸師は西洋医学から見放されたり、絶望した人の希望となれるとてもやりがいがある良い職業ですが多くの場合、茨の道です。

鍼灸の否定的な意見。伝わりましたか?(笑)

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