東洋医学だろうと現代医学だろうと治療者が「治せない。」「治したくない。」「治さない。」患者というものは存在します。
理由は病の原因が不明であるとか、難しい病であるとかそのようなものではありません。 その多くは患者に「本気で治る気がない」ものです。 このことを扁鹊という医者が簡潔に語っています。 大昔に書かれたものですが現在でもその言葉には説得力があり、当たり前の内容ばかりです。
 
治らない貴方。心当たりはありませんか?
 

扁鹊の六不治⑤

形羸不能服药,五不治也。
『形つかれて服薬能わざるは、五の不治なり』
 
いわゆる、手遅れ。 体の衰弱が激しくて薬を使えない状態です。 薬にかかわらず飲み食いできなくなった状態も含みます。
六不治の中で唯一、患者本人のせいではないものでしょう。
現代医学をもってしても食事が取れなくなった人はあまり長くはもちません。 点滴がなかった過去には尚更でしょう。 ならば、余計な医療を施して苦しみを長引かせるのは不幸というものです。 天命に従い、死なせてあげるのが唯一の救いとも言えます。
時代にかかわらず、医療は有限の資源です。薬も、医者も、時間も、技術も知識も、資金も… ならば、助からないと分かっている人に医療を加えるより、他の助かる人を診るべきです。 心苦しいですが、どうにもならないものはどうにもなりません。
 
事故などで急死でもしない限り、このような状態に誰しもがいずれ陥ります。 これは避けられないことではありますが、時期をできるだけ遅らせることは自身の努力で可能です。 正しい養生を行い、心身の健康を気遣い、自分にも他人にも素直に生きる。そうあれば可能な限り死への時間を先延ばしにすることができ、途中の時間も満足行くものになるでしょう。 健康はすべての土台。大元。貴方に残された時間を有意義に使うための絶対条件です。
そのための手助けに鍼灸や漢方、気功などといったものが発達しました。 病を癒すためだけでなく、健康な状態の時から養生として行うことにより健康を維持し続けることが、最も効果的な治療であり、長生きの秘訣なのです。
西洋医学でも近年になって予防医学こそが最高の医学と言われ始めました。 しかし、西洋医学には検査に重点を置くばかりで、積極的な養生の医学というものは殆どありません。 あくまでも医療は病気になった時に行うもの。という時代が長かったせいでしょう。
 
私の実際の臨床では、このような臨終前の患者さんにも加療することがあります。もちろん助けることはできません。 しかし、弱っていく体によって苦しむ呼吸や、心拍を助けたり、痛みや苦痛を緩和することはできます。 そういった人の多くは長年私の治療に頼ってくださった気心の知れた人です。 私が側にいることで少しでも死への間際に心の安らぎを与えられるなら、たとえ命は救えなくとも意味がある行為であると思いたいものです。
 
貴方が治らないわけ⑦へつづく
 
 

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