日本人の90%は一生のうちに一度は腰痛を患い、その中の85%は非特異性腰痛だそうです。 非特異とは「普段通りでないこと(特異)に非ず」という二重否定の言葉で、要するに調べても正常、普通、普段通りで腰痛の原因が見当たらない。と言うことです。 原因不明の類義語ですね。

当然、非特異性腰痛などという言葉は西洋医学のもので東洋医学では使いません。 西洋医学の大きな特徴として客観性があるものを重視するというのがありますから、先ずは骨や臓器の形や大きさの異常、血液検査などでの数値的な変化を拠り所とします。 外科ならヘルニアや椎間板変性、すべり症、分離症、脊柱菅狭窄症などの病名がつくものが代表的です。 内科なら月経痛、卵巣嚢腫などの婦人科疾患、潰瘍などの消化器疾患、尿路結石などの泌尿器疾患などの幅広い病名が付けられます。

冒頭の数字が本当ならこのような病名ではっきりと腰痛が出ているとわかるのが15%だ。と考えられていると言うことです。 では、残りの85%は何なのかというと非特異性腰痛の名が示すように原因がわからない腰痛です。 このような腰痛になってしまった場合に思い立つのが鍼灸、マッサージや整体、カイロプラティックなどの物理療法でしょう。 人によっては病院より先にこちらを頼る人も多いと思います。

確かに、「なんで腰痛になったのか分からないけど、治るなら原因なんかどうでもいいや。」と言うのは患者なら当然の心理であって勿論それで良いのですが、我々治療家はそれではマズイわけです(笑)

当然ですが、治療家も適当に治療しているだけでは治らないので、理論を勉強しています。 そして、それぞれの手技においてそれぞれの説明がされています。例えば「骨の歪み」だったり「筋肉の緊張」だったり「冷え」「血流不足」だったり「心理的ストレス」だったりとそれはもう手技の種類や流派などによって様々です。 

そして、こういったことを考えて治している物理療法の中でも西洋医学的な考えで治すものは沢山あります。 このような場合は病院と同じように西洋医学的な考え方をしているのですが、明らかに違うのが、病院の検査よりももっと微細な変化に拘っているところでしょうか。 病院の検査では正常範囲の誤差として見逃しているモノを人間の感覚で異常として捉えそれを治す。 それによって効果が出るのです。 特に、病院が弱いのが軟部組織(筋肉など)の異常です。今の画像検査では「この筋肉が固くなってる」なんて細かなことは判りませんから原因不明として適当な病名がつけられます。 まぁ、診察や処置に手間や時間がかけられないのが今の病院ですから分かったところで物理療法系の施術者に患者さんは回されるでしょうけれど(笑)

 

さて、世の中に万能なものが無いように病院でも、西洋医学的な物理療法でも治らない。原因不明な腰痛と言うものもあります。その場合に役立つのが東洋医学というものです。  東洋医学では鍼灸 按摩 整骨などが有ります。 さっき出てきたものと被っていますが混乱しないでくださいね! 東洋医学、西洋医学というのは治療法や手技の名前で変わるものではなく考え方で変わるのです。つまり、やってることは見た目には同じですがその治療をするに至った治療者の考察部が違っているのです。

なーんだ。と思うかもしれませんが、実はこれはとっても大きな違いです。 だって、西洋医学では治らず、東洋医学でなら治るということはまま起こることですから。

 

東洋医学だと腰痛なら例えば「腎気の弱り」などと説明されています。この意味が分かる人は東洋医学に詳しい人でしょう。 東洋医学は言葉は単純。意味が奥深い。という仕組みなのでここで腎気の弱りについて説明することはしませんが、少なくとも原因が一つ特定されている訳です。 なのでこの場合、後は如何にして腎気を高めるか?に注力すればよく、その方法は西洋医学的だろうが東洋医学的だろうが効けばなんでも良いんです。(少なくとも私はそう思っている)

鍼灸、按摩、整骨において治療法やその理論は西洋医学の方が圧倒的に単純で簡単ですから、西洋医学的な治療で治るのならそれに越したことはありません。しかし、治らないとなると治療方針も東洋医学で考えることになります。 現代の鍼灸師、柔道整復師は西洋医学を修めていないと国家資格がもらえませんから必ず西洋医学は使えますが、東洋医学は試験に合格した後の個人の勉強次第です。だから治療院によって治療方針が変わってくるのですね。 

東洋医学も万能ではない訳ですし、現代では病院で原因が判明し処置が有効ならそれが多くの人にとって恐らくはベストな方法でしょう。 しかし、原因が解っていても痛み止めだけで根本的な処置のしようがないもの。 原因がそもそも分からないものは病院以外の治療や西洋医学でなく東洋医学も試してみる価値のある治療法ですよ。^^