血圧は一定ではない

ものすごく当然なことなのですが、血圧は一定ではありません。起きてるとき、寝ているとき、座っている時… それ以外にも目を開けた。閉じた。指を動かした。喋った。何か考えた。ありとあらゆる刺激や動きに対して微細な自動調節を行っています。 そのため、家庭や病院で測った血圧が日頃からの血圧である確証はなにもありません。1905年にコロトコフによって、水銀血圧計が作られてから血圧は数値として目に見える様になりましたが、現代でもその人の“真の血圧値”を知ることはできません。

24時間自由行動下血圧計(ABPM)

真の血圧に最も近いとされているのが自由行動下血圧計で測った血圧です。 その名前の通り、生活しながら24時間の血圧を測るもので日内変動を記録することができます。 但し、これもまたその日毎の行動により大きな差がでるので、あくまでも最も近いというだけで真の血圧ではありません。

 
 
 
 
 
 
 
 

血圧に関する問題

高血圧は循環器系へ大きな負担をかけて様々な病気の原因となります。その中には命に関わる病気も多く含まれていて、現代医学でも血圧管理は健康維持や病気の診断に大きな役割を果たしています。 とはいえ、血圧ほど正常とされる値がコロコロと変更されるものもないでしょう。
1960年代、日本中の医学部で使われていた教科書の「内科診断学」には「最高血圧=年齢数+90㎜Hg以下」が正常となっています。おおよその正常値は150-100程度です。
1970年代、世界保健機構(WHO)が、最高血圧160以上、最低血圧95以上と規定して、日本でもこの値が採用されました。
1993年、WHOと国際高血圧学会(ISH)が新しい分類法を発表して血圧の正常値を「最高血圧140未満、最低血圧90未満」と規定。どちらかが超えると境界域高血圧として要注意。というグレーゾーンができました。 このグレーゾーンは本来、高血圧に気をつけましょう。というものですが、あたかも既に高血圧という印象を受けるような指導がされていました。
2004年、日本高血圧学会が、65歳以上の高齢者について「降圧目標値」(下げるべき数値)として従来のグレーゾーンの「140~160」から「140未満」に引き下げました。
 
少しずつ正常とされる範囲が狭くなってきていますが、果たしてこれは本当に高血圧という病気として問題視するべきものなのかが疑問です。
 

血圧は高すぎるより低すぎるほうがまずい

当然、高すぎる血圧、低すぎる血圧共に大きな問題ですが、直ちに大きな問題となるのは低すぎる場合です。
高血圧は出血リスクが高まります。話題の多い動脈硬化などはその前段階で起こるものですが、これだけではなんともありません。
低血圧は梗塞リスクが高まります。また、血圧は血液を体の隅々まで行き渡らせるための最重要なものなので低い血圧が続くと体の上部や細部にまで血液十分に巡りません。 その結果として体は酸欠状態、栄養不足状態となり、これが主要部位におこればショック症状を起こしたり、意識を失ったり、臓器不全になったりと直ちに命に直結する疾患を起こします。
 

応急処置としての治療も高血圧の場合のほうが簡単です。

高血圧は血管内の圧力を抜けばいいので血液を抜く「瀉血」を行えば必ず下がります。野蛮なイメージがありますが、ほんの百年ほど前までは西洋医学の病気の治療法としては常套手段でした。 なお、瀉血は医療行為なので現代日本では医師以外が行うことは禁じられています。 高血圧治療薬としての降圧剤はオシッコとして血液の水分量を減らすもの。 末梢血管を拡張して血圧を下げるものなどがあります。
 
低血圧を回復させるには輸液、昇圧剤、強心剤という方法などがありますが輸液は瀉血の逆で血管内の液体量を増しているもの。 昇圧剤は特に毛細血管を収縮させ体の重要部位の血流を確保する目的のもの。強心剤は心臓の拍出を強めてしまうもの。 確かにどれも効果はありますが、血圧というのはそもそも「生命力」を利用しているので予備体力不足や何らかの病気で血圧を高めるだけの元気が出てこない人はこれらの薬の力を持っても昇圧できずに死亡することがあります。
 
高血圧、低血圧ともに応急処置の効果は一時的ですから効果を保ち続けるには服薬を行い続ける必要があります。 高血圧の薬は飲み始めると一生続けなければならないなどとまことしやかに言われますが、現代医学の適正値に収め続けるにはある意味その可能性は高いと言わざるを得ません。
 

血圧管理より生活管理を

日頃の血圧管理は将来的に起こりうる重大な疾患に対しての予防に過ぎません。しかし今を生きずに将来はありえないので体は今まさに生命を保つために血圧を最適にコントロールしているのです。 高血圧、低血圧はその結果なので現代の対処療法としての薬を続けても治ることはありませんし、体の維持を行っているものを薬で押さえつけるのですから、ある意味では体に多きな負担を強いていることにもなります。
血圧を正常にしたいなら原因をとるのが最も効果的です。 血圧が大きく変動する病をお持ちの方はその治療を。 原因疾患がなく、太っている方はダイエットを。 痩せ過ぎている方は適切な食事とトレーニングを。 現代医学では原因不明、または病気としての診断はつかないが体の機能に問題が有る人は東洋医学を…。
真の血圧は絶対に測定できないですが、そもそも数値化する必要は特にありません。 わかったところでどうせ行う治療、養生は同じです。 ただ、真に血圧病を治したい。薬を止めたいと願う方は、生活管理は必ず行わなければいけないものなのです。
 

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