アナモレリン塩酸塩

エドルミズ錠という薬の承認が降りました。

適応は非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌でおこる悪液質。

グレリンというホルモンと似た働きを持ち、食欲増進と摂食量増加。成長ホルモン分泌とインスリン様成長因子の増進によるタンパク合成の増加を効果とします。

要するに…

食欲がなくて痩せていくがん患者の食欲を戻し、栄養、筋肉をつけようとする薬ってことです。

悪液質とは

何らかの疾患を原因とする栄養失調により衰弱した状態。今回の場合は癌です。癌により、炭水化物やタンパク質の代謝変化がおこり痩せていくもの…。つまりは本来貯めておくはずのエネルギーを無意味に消費してどんどん栄養失調状態になり痩せていくものです。

この状態になると当然、臓器の機能が落ちて元気も出ません。血中タンパクが少なくなってくるので腹水などが溜まってきます。そういった状況が重なり食欲も出ません。すると余計に栄養が足りなくなり悪化していきます。

先ずは食べて排泄することが大切ですが、初期はともかくある程度重くなると食べたくても食べられなくなります。胃腸の機能そのものが落ちてしまうのです。そのうち便や尿の出が自分で気づくくらい悪くなります。

悪化していくと本人はもちろん、支える家族や世話人にとっても、とても辛く大変な状態となります。誰がどう見てもひと目で弱っているな…とわかります。

これまでにもこの状態になった方を診ています

やはりがん患者でしたが、長期間に渡り同じ方を診ていると病の経過を知ることができます。悪液質の進行が癌そのものなのか抗がん剤などの強い治療によるものなのかハッキリしない場合もあります。

それでも、私は悪化の予想を立てて、そうならないように治療します。なるべく元気な時を長く維持するためには、先ずはやはり食べること。そして排泄すること。そのうえで臓器の機能を維持すること。可能なら運動も行います。筋肉量を落としたくありません。 意外かもしれませんが鍼灸でもできるだけ早期にできるだけの治療や努力を行えば余命を元気に過ごせる時間を持てます。少しでも改善させて良い状態を維持できれば西洋、東洋を問わず治療に選択肢が増え、本人の生命力しだいでは奇跡だって起こるかもしれません。

しかし、私は重度の悪液質になった状態を正常に戻せたことはありません。西洋医学でも治療法は限られており、まず治すことはできません。だから重度化する前の予防に最善を尽くすのです。そんな状態の病に一つでも治療の手段が増えたことはとても良いことだと思います。 あとはこの薬に納得の行く効果があることを祈るばかりです。

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