危ない養生

養生方は色々とありますが、大抵は温める。栄養を取る。運動する。休む。などです。その中で特に問題となるのが栄養を取るに代表される◯◯を摂るというもの。

その他の養生は生活環境的に色々と制限があり、過度と呼ばれるくらいまで行うことが難しいのでやりすぎでの大きな害になることはあまりありませんが、食べるという行為は欲望のままに行えるので最も誤った養生になりやすいといえます。

基本的に現代では殆どの場合、食べるものは多すぎ。 運動は少なすぎ。というのが実際です。

食べるのが多すぎる

食べることは人の三大欲求の一つでもあるので誰でも抗うことは難しいです。 しかし、栄養不足が体調不良の原因だというのは基本的に食糧難の時代の考え方です。 今の飽食の時代において普通に食べている人ならば栄養不足というのは考えにくく、もし本当に起こっているのならかなりの偏食をしているか、消化吸収に問題があったり特定の成分を体内で作れないというような何らかの疾患をもっていると考えるべきです。

ヨガの有名な教義に「腹八分目で医者いらず。 腹六分目で老いを忘れる。 腹四分目で神に近づく。」というものがあります。ヨガの起源は4000年以上前とも言われます。いつ頃からこのような教義が出てきたのかは分かりませんが、時代的にもヨガを実践する人(修行僧)たちが現代日本人より飽食であったとは考えにくい。それでも、そのような時代の人が瞑想を通じ悟りを開いて得た言葉が「食を控えよ。」であり数千年も伝わっているのでしょうから、これはもうある意味の真理でしょう。

東洋医学、漢方でも食べ過ぎによる害はさんざん言われていますし、実際、適正な食事を取っている人はほとんどいないと思っていいです。

これは食べることが即ち快感であって食欲を抑える事にそもそも精神的な苦痛が伴い、さらにTVや雑誌などで現代の食事はカロリーばかりで栄養がないとか、農薬や品種改良で栄養素が低下しているからたくさん食べないとダメとか、貴方の体調不要は◯◯という栄養素が足りないから健康食品などで補助しないととダメなどという話が多いからだと思われます。 実際には食べ過ぎであっても、体調不良の原因をこれらよって刷り込まれた栄養不良とすることで、よりたくさん食べることを正当化できるのですね。 疲労や老化によって持つイメージはやはり活力の不足。それに伴う様々な病。 そのため自分には栄養が足りないと短絡的に思い込みやすいのです。

 

食べれば元気になるという思い込み

とにかく、メディアの論調はなんらかの栄養を摂ることが体に良いとされ、特定の栄養不足が体調不良の原因とされて報道していることが多いのは事実でしょう。 つまり、貴方に足りない栄養を取れば元気になれると。この目的は明白で、そう言って体調不良の人たちの不安を煽り、解決策ぽいものを提案することで食品商品を売ろうとしているのです。 食品会社や健康食品の販売元などは貴方の事を何も知りません。 同じ症状があるからといって同じ栄養が足りないとも限らないはずなのですが、そんなのは知ったことではありません。仮に、摂取したことで何か害が出てもよほど重篤でなければこれもまた知ったことではありません。 効果には個人差があると小さく注意書きしてありますし、販売したものによる副作用と証明するのはほぼ不可能ですから。

 

基本的に現代日本でとにかく沢山たべて栄養を取れと言ってるのは西洋医学ぽいものだけ。です。 もちろん東洋医学でも西洋医学ぽいもの的な考え方に則って治療を行っている人は「栄養を取れ」と言いますよ。 しかし、それで体調が良くならない人はどう説明をするのでしょうか? 「まだ足りないからもっと取れ!」というのが大概の方針となっているのではないでしょうか? 

ここで西洋医学「ぽい」と言っているのは正当な西洋医学とするには非常に根拠が不明確だからです。 確かに野菜の栄養素は昔に比べて下がったかもしれません。 肉も果物も何らかの薬に晒されているでしょう。体に良くないことも恐らくは間違いないと思います。 しかし今の医学、栄養学はそんなことを殆ど問題にしてはいません。 これは現実的に大多数の人は大きな問題にするほど体に影響がでないからです。 大きく騒いでいるのはサプリメントや自然食品の販売生産元。そしてそのお抱え学者や医者などです。

誤解のないように付け加えれば、私も過度な人口管理をされた食品や添加物、農薬やホルモン剤などは嫌いです。大多数にとって直ちに問題が出ないとは言え、長い目で見れば健康を害する可能性が高いと考えておりますし、こういったものはまず間違いなく不味い。 そして体調を崩す人も確かにいる。 しかし、今の社会はこのような考えは少数派だということです。

健康志向、自然志向はとても結構なことですが、こういった方に限って栄養補給することが健康への道だとの思い込みは強いように思います。

 

治療方針は?

患者さんに多い質問が、自分の症状を治すのに「なにを食べたらいいですか?」というものです。

「なにを止めたら良いですか?」と聞く人はまずいません。 膝が痛くても、腰痛でも、頭痛でも、耳鳴りでも、冷え性でも、不妊でも、鬱でも、アトピーでもとにかく大方の質問は「なにを食べたらいいですか?」です。

もう完全に栄養を取ることが健康に繋がるという考えにとらわれてしまっています。食品会社の思う壺ですねw

こういった方たちがもし、食べ過ぎによるもので病んでいるのだとしたら、何を食べても治りはしません。 寧ろ栄養を取るほど悪化します。  

これは実は非常に危険なことです。 栄養の不足はほとんどの場合、重篤でも補給すれば済みますが、栄養の過多は様々な慢性病、長期間患って命を脅かす病にも繋がるのです。

西洋医学で食べ過ぎによる病の代表と言えば糖尿病ですが、この場合には必ずと行っていいほど食事指導が入ります。 意識の高い人はきちんと医師の言いつけを守りますが、薬で症状や検査値が下がっていると大半の人がまた食べ始めます。 基本的に糖尿病は不治の病。罹らないようにするには食べすぎないこと。 悪化させないようにするにも食べすぎないこと。

 

結局は食べ過ぎ、栄養の摂りすぎによって体調を崩した方は食べる量を減らし栄養を制限することが最も有効な治療方針になることは言うまでもありません。

 

つづく…

 

 

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