インフォームドコンセントは「説明と同意」ということで、特に医療者が患者さんの治療に関わる内容を説明して理解と実施の同意をもらうものです。
http://www.carenet.com/series/coml/cg001859_003.html

この記事は、このインフォームドコンセント を行ったにも関わらず、患者さんは説明を受けていないと考える現実を示しています。

 
記事内にもありますが医療に関して全くの素人である患者さんが、専門家の説明をたかだか数10分 受けただけでこれから自分に起こる医療行為を正しく理解しその上で同意ができるとはとても思えません。
専門家にとって常識でも一般の方にとっては非常識であり、医学的な基礎知識がない方には聞いても理解できない場合が多いので「説明はいいから早く何とかしてくれ。」 といった気持ちでいっぱいなことでしょう。
 

インフォームドコンセントは患者の権利を守るために始まったとされますが、

その実は医療者への責任を深く追求されないように自己防衛する仕組みでもあります。 つまり、治療行為が良い結果をもたらすなかった場合。患者が医師をむやみに責めることを未然に防止するために行なっているのです 。 
以前は医療により故意過失を問わず問題が起こっても患者はほぼ泣き寝入りでした。しかし、多くの患者に権利意識が芽生え、 医療訴訟が増してくると医療者側もそれに対応していきます。 その一つがインフォームド・コンセントと言うわけです。
予め治療のベネフィットとリスクを説明し、患者に実行の同意をとることで
「こうなる可能性は説明したしやっていいって言ったよね? だから私に責任はないよ。 全力を尽くしたし。」 と言っているのです。
 

さて、この仕組はうまく働いていないのは皆さんも病院などで実感されたことがあるかもしれません。

非常に簡単な手術なのに無用と思える内容の資料にサインをしたり、 治療を行ったことにより回復した良い事例ばかりを出されてその気にさせられたり、(HPとかに多いですねw) はっきりしたメリット、デメリットがわからないまま丸投げされ返答の期限を切られてしまったり。 ろくな説明もなく一方的にこれしかないと一つの治療を決めつけられ実行してしまったり…。  本当に様々です。
 
このような問題に一つ一つ対応していくのも良いのかもしれませんが、最も根本的な問題は別にあるように感じます。
 
それは患者が医療者を信用していないということです。そして医療者も患者のことを信用していません。 お互いに十分な信頼関係があれば過度な説明をする必要ありませんし、たとえ事故が起こっても相手の人間性を信頼して本当に手を尽くしてくれたのだと多くの人は納得することができます。 そして医療者も本当に患者を救いたいと心から願い患者にとって最も良い選択肢を与えることができます。それは非常に高確率で患者と治療者の両方にメリットをもたらします。
 
医療者と患者の信頼関係が崩れていっているのは、今の医療があまりにもシステマチックでお互いを理解するための材料も時間も全く足りていないのが大きな原因でしょう。
これは日本での国民皆保険制度、チーム医療がもたらした弊害でもあります。 どちらも大変素晴らしい仕組みなのに医療者と患者、双方の独善的な考えや思い込み。その行いによって当初の目的とは違った方向に進んでいます。
 
この大きな流れはかなり大きな仕組みの改革をしない限りおそらく止めることはできないでしょう。より厳密に、より厳しく規制 され、細かく同意を取り、お互いが過剰なほどに自己防衛することが増していくのだと思います。
 
私は、せめて自分と自分に関わった人たちくらいは信頼関係のもとに治療を行っていきたいと 考えています。

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