念のために!!

私が使うのは鍼灸術で東洋医ですが、西洋医学は嫌いではありません。 寧ろ西洋医学のほうが色々と分かりやすいので好きな部分もあります。  実際の治療は東洋医学の考え方で行うほうが圧倒的に多いのですが、自分ではどちらかと言うと中洋の折衷派だと思っています。 なので西洋医学、東洋医学どちらかの狂信者でもなければ、どちらにもアレルギーを持ってもいません。

 

この話題はアランナ コリンと言う博士が書いた「あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた」という本からです^^

まぁ、タイトルになっている体の9割が細菌。自分の細胞が1割しかないなんてのは目を引くための単なる釣りなので放っといて、内容は人体に生息している細菌についてです。

最近、人体で飼っている細菌が話題ですよね。特に腸内細菌。 様々な病気から、心の在り方に至るまで影響するといういろいろな説があります。 治療法にも糞便移植なんてのが出てきて驚いたものです。 そしてこの話の時に決まって槍玉に上がるのは「抗生物質」です。

抗生物質は菌の増殖を抑える薬です。世界初の抗生物質は言わずと知れた「ペニシリン」 これは1942年に実用化されています。 その後、研究を繰り返してより多くの菌に効く抗生物質が開発されています。

抗生物質の発見は感染症の克服に非常に貢献し人類を大量病死の危機から救っています。 抗生物質が見つかっていなかったら自分の親や祖父母は感染症によって死んでいたかもしれません。 もしかすると貴方も私もこの世に生まれてこなかった可能性すらあります。 現代人が簡単に治ると思っている感染症は本来それくらい恐ろしいもので、抗生物質の発展は人類の感染症治療に多大な貢献をしています。

近年はその抗生物質の乱用が問題になっていますね。 国もとうとう「風邪に対して安易に抗生物質を処方するな」という意味の手引書を医師会に出したようです。 「風邪の殆どはウイルスによるもの。なので抗生物質は効かない。 普通の風邪なら放っておけば治る」と言っています。

これは言わずと知れた耐性菌への対策です。 抗生物質と耐性菌とのいたちごっこは悪戯に新たな抗生物質の研究費を費やしますので国としてもなんとかしたいところなのでしょう。 おまけに今のペースで耐性菌がどんどん進化するとそれに対抗できる強さを持った抗生物質の研究が全く間に合いません。 もしなんの抗生物質も効かない強力な毒性を持った耐性菌によって広域な感染症が発生したら下手すれば国や人類そのものが滅びます。 国としては当然の危機管理ですね。

それでも風邪をひいた時に医師が抗生物質を処方するにはそれなりの訳があります。 風邪自体の主な原因はウイルスですが、病気で弱った時に風邪をひかせたのとは別の菌が感染する二次感染を防ぐのが目的とされます。  風邪の治療をしないで別の感染を予防する。これに対する意義は医師の中でも様々な意見があると思います。 私見では西洋医学的な観点ならこの意見も一理あるかなとは思いますが、風邪をひいている最中に風邪を治す薬でなく、別の病気の予防を治療のメインとするあたりを考えれば西洋医学は風邪そのものにはやはりアプローチできないのでしょう。 有効な手段がないから仕方なく処方しているのでは?とも思います。 更には医師が風邪を治せないとなると風邪で病院に行く必要がそもそもあるのか…?とも思ってしまいます(笑)

 

病人の個人的な問題として考えれば、抗生物質を使いすぎると国よりも先に自分の健康が滅びます。 病原菌を殺す時に本来体に有用な菌達も殺してしまうから正常な生体活動を維持する事ができなくなってしまうのです。 ついでに自分の体内で耐性菌を作り出し培養してしまうかもしれません。 過去に抗生物質を使いすぎてどの抗生物質も効かなくなってしまったご老人(医師のお墨付き)を診たことがあります。既に亡くなってしまいましたが正直言って自分の身の危険を感じていました。幸い自分に感染はしませんでしたが、もし感染していたらと考えると怖いです。パンデミックの発端が自分の体なんてなりたくないです。 

薬なんてのはただの手段で道具。良いも悪いもありません。要は使いようです。 過信せず、やたらと嫌わず、なるべく害がなくメリットを得られるように使う側も使われる側も考えないといけないですね。