治療法や薬をアピールする時に使われる定番文句「副作用がありません。」

この言葉を「おかしい」と感じる人はきっと今回の記事を読まなくても大丈夫です。
「副作用ないんだ。じゃあ安心。」と考えた人は注意してください。
 

副作用が無いとよく謳われる治療法

鍼灸 漢方薬 整体 オステオパシー ナントカ水 ヨガ アロマテラピー 湯治 サプリメント系健康法 一部の新薬 などなど… 新しい治療法はどんどん出てくるので枚挙にいとまがありません。 それぞれに特色があり、みなさんが好きなものを必要に応じて採用すればいいと思いますが、あまりにも効果ばかりを強調し、副作用がないと謳うものには注意が必要です。

 
 
 
 
 
 

なぜかって?

それは簡単。一応、この世は物理の法則が成り立っているからです。 作用と反作用というものは必ず一対です。 どちらかがあればもう片方も必ず存在します。そのため、副作用だけがないという現象は効果があるものでは起こりえません。
薬でいえばベネフィットだけがあってリスクがないものは存在しません。 もし、どちらかが無いという場合、もう片方も存在しないもの。それを「偽薬」と呼びます。
どんな治療法でも同じです。 効果だけがあって副作用がないものはありえません。 つまり、副作用がないといって宣伝しているものは効果もありませんと言っているのと同じです。 効果だけしか無い治療。それはもう物理科学ではないもの。加持祈祷の類と同じオカルトですね。信じた人だけに効く治療です。
 

それでもこの治療法は効いて副作用がないんだ。

そう言われる方も多く居られるでしょう。 これにはいくつか説明が必要です。

あることを知っててもワザと無いと言い切っている。

まず、宣伝しているものは全て販売目的です。副作用がありませんと言うのは売り上げるために見込み客に安心感を与えようとしています。だから不都合な真実や不安を煽る言葉を避けています。
副作用と言う言葉には一般的に「都合の悪いもの」という先入観があるために、利用者に不調が現れず、副作用と気づかなければ無いのと同じです。ならば伝えなくてもいいよね?という考えのもとに副作用がないと言い切ります。
また、効果が小さければ、副作用も小さいのが当然です。こういった場合、小さな効果は体に良いと信じて行った行為の結果なので心理的なバイアスがかかり実際の効果以上に効いたと感じるものです。そして小さな副作用には気づきません。 実際の効果は小さいのですから、それに見合って副作用は微々たるものです…。
前述の通り、副作用は今の貴方にとって不都合なことだけではなく、都合の良いことも起こり得ます。 副作用とは「予期せぬ作用」のことなので体にとって都合が良いか悪いかとは無関係です。
 

そもそも分かっていない

副作用の事実が確認されていないということです。つまり、「一通り研究したけどわからなかった。だから副作用は無いでいいよね?」というものですね。
あとから副作用が発見され追加される事例は多くあります。一例として、使い古された薬であるアスピリンの副作用でアルツハイマー病抑制、癌抑制、脳卒中防止などが近年新たに見つかりました。 アスピリンなんて19世紀末から使われている薬です。それでも分かっていなかった副作用が今さらポロポロ出てくるということは、新しい薬やろくに研究されていない治療法なんて分かっていることのほうが少ないと考えるべきでしょう。 もし重大な物が隠れていたら?いま貴方がたまたまその犠牲者となっても恐らくは誰も責任はとってくれません。 因果関係が不明ですから…。
 

効果があるなら副作用はあって当たり前。だから!

コントロールするのです。 効果と副作用のバランスを考え、副作用を抑えながら狙った効果を最大限に引き出す。 これを行うのが真っ当な医療です。医師、薬剤師、鍼灸師、柔道整復師、あんま師…国が認めて国家資格となっているものには治療の効果と副作用をコントロールするための理論と技術があります。
ただし、全てが上手くいくとは限りません。強い効果を求めるほどに強い副作用を覚悟する必要がありますし、そのコントロールも難しくなります。  ときには都合の悪い副作用の発生を覚悟して治療を進める決断も必要です。 漢方でも現代医学でも病の全てが解明されているわけではないので、どうしようもないものはどうしようもないのです。
 
ただ、根本的に真っ当な医療とそうでないものの差は継続した治療が博打になるかどうかでしょう。
例えば○○を治すには△△がいいよ!!というものを行い…
①△△をしてみたらなんか調子いいや!
②△△してたらなんか頭痛が酷いんだけど?
理論がたっていない療法の場合、貴方がどちらになるか予め予想できる人はまずいません。 せいぜい「調子が悪くなるかもね?」程度です。 こういった治療は博打と同じです。 さらに治療結果に不都合が有ってもコントロールの余地がほぼなく、そのための拠り所となる理論もありません。なので「医学」とは認められないものばかりです。 (治療法ごとにこの辺の判断は国によって違います)
 

副作用を認める必要性

副作用がなければ効果もないので納得の行く結果を求めるなら当然のように副作用が起きるのを認める必要があります。 コントロールが可能なもの。不可能なもの。様々でしょうが、副作用が全くないのではいけません。 そして、患者側は自分の体に起こる効果だけでなく副作用にも気を配ることでより体の変化を知ることができ、計画的に良い治療効果を得られます。
発生を恐れるのではなく、認めて利用するもの。それが副作用の使い方です。
 
 
 

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